2023 Fiscal Year Research-status Report
非線形分散型方程式におけるソリトン解の振動現象と漸近挙動の研究
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19K03579
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
前田 昌也 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (40615001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 非線形クラインゴルドン方程式 / 非線形シュレディンガー方程式 / ソリトン / 漸近安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は冪乗型非線形項を持つ1次元シュレディンガー方程式並びにクラインゴルドン方程式についての研究を行なった。 まずクラインゴルドン方程式に関してはこれまで研究が行われていなかった低い冪 (p<2)についてその場合のソリトンの安定多様体上の解の漸近挙動の解析を行なった。この研究についての困難は冪が低いため非線形項の微分可能性もそれに応じて低いということである。特に近似周期解の理論では中立固有値の位置に応じてテイラー展開を行う必要があるが冪pが5/3と2の間にある場合は微分可能性が一つ足りない. そこで不完全な不完全な近似周期解を近似周期解に代用し、ソリトン自身が正値であることと冪乗型非線形項が原点を除いた点で滑らかであることに着目しその困難を克服した。 次に非線形シュレディンガー方程式では冪pが3に近い場合のソリトンの漸近安定性について研究した。より弱い意味の安定性である軌道安定性に関してはp=5を境に安定性が変化する(pが5未満なら軌道安定)であることは80年代より知られていたが、漸近安定性に関しては結果が全くなかった。そこで我々はpが3に近いとき必要なスペクトルの情報やフェルミ黄金律の係数が摂動計算により厳密に得られることに着目し漸近安定性の証明を行なった。ここでp=3の場合は方程式が完全可積分となりブリーザー解が発生するので漸近安定とならないことに注意されたい。 つまり我々の結果はpが3に近いが3の場合は除かれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
指数的に遅い減衰の研究は進んでいないが、一方で近似周期解理論の整備は大いに進展した。また1次元次元低次冪の方程式に非常に強力な効果を発揮するビリアル不等式に初等的な評価である平滑化評価を組み合わせることに成功し具体例が豊富にある1次元低次冪の分散型方程式のソリトンやキンク解の漸近安定性理論が大いに進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
ビリアル不等式と平滑化評価の融合によるソリトン、キンク解の漸近安定性の理論の進展並びに遅い減衰振動の解析を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ収束により出張は再開されたが4年間出張できなかった分が多く残っているため未使用額が生じた。今年度は本来の予定で行くはずだった出張等に未使用額を用いる。
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Research Products
(6 results)