2022 Fiscal Year Annual Research Report
制御問題,力学系,界面運動に現れる漸近問題への粘性解的手法の研究
Project/Area Number |
19K03580
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三竹 大寿 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90631979)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式 / 外力付グラフ型平均曲率流方程式 / カプトー型時間分数冪拡散方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,(テーマ1) カプトー型時間分数冪拡散方程式の弱解の同値性,(テーマ2)ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の解の長時間挙動,(テーマ3)外力付等高面平均曲率流方程式のコーシー・ノイマン問題のリプシッツ評価について,幾つかの結果を得ることができた.テーマ1では,時間微分としてカプトー型時間分数冪微分を考えた拡散方程式について考察した.この方程式は,例えば土壌中の汚染物質の拡散など,不均質な媒体での拡散現象を記述する方程式として理論と応用の双方から注目を集めている.本研究では特に弱解の同値性について結果を得ることができた.微分できない解に対しては,超関数に基づく弱解の概念と,最大値原理に基づく粘性解の概念が標準的であるが,その同値性を証明することは簡単な方程式でも自明ではない.ここでは,レゾルベント型近似を用いて2つの同値性について示すことに成功した.テーマ2では,ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式の解の長時間挙動について,長時間後の極限関数がどのように初期値に依存するかについて解明した.これらの解析では,偏微分方程式における粘性解理論が基本的な役割を果たしているが,従来の同理論に比べより一層,力学系理論との関連に注目してきた.具体的には,同方程式の背景にあるハミルトン系,又は確率ハミルトン系の関係を深めようとする弱Kolmogorov-Arnold-Moser(KAM)理論,またその一般化について,その発展させることで成功した.テーマ3では,同問題の解の時間大域的リプシッツ評価について,Bernsteinの方法から自然に現れる強圧性に相当する仮定を外力に加えて得ることに成功した.さらに,この仮定を外した場合には,時間大域的リプシッツ評価が得られないという例を構成して,仮定の最適性について示した.
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