2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the global structure of solutions and their stability for nonlocal boundary value problems by using elliptic functions
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19K03593
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
四ツ谷 晶二 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60128361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 善久 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (10192783)
川上 竜樹 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (20546147)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非線形境界値問題 / 完全楕円積分 / 楕円関数 / 交差拡散方程式 / 反応拡散方程式 / 極限方程式 / 非局所 / 線形化固有値問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題に関連した以下のような成果をあげた。 1)研究代表者の四ツ谷は,非線形項が解の定積分値で定まる,非局所項を含むノイマン境界条件下での空間1次元アレン・カーン方程式の定常解の大域的分岐曲線が等高線に一致する曲面の具体的なパラメータ表示を得た.さらに,点対称な解の安定性について数学的な証明を与えた.これらは,欧文誌に2本の論文として発表した.細胞極性の発現の数理モデルの拡散係数を∞とした定常極限方程式に対しても,分岐曲線を決定する曲面の具体的なパラメータ表示を得て論文を投稿中である.加えて,拡散係数が有限の場合の定常方程式に対しても分岐曲線を決定する曲面の具体的なパラメータ表示の存在の感触を得た. 2)分担者の森田は,複数の半直線が1点で結ばれたジャンクションを持つ領域で,反応拡散方程式のフロント波の伝播の問題を考察した.ジャンクションを通り越して伝播する場合と,伝播がブロッキングされる場合があり,そのような現象を特徴付ける全域解の存在と漸近挙動,ブロッキングを引き起こす定在波の存在と安定性に関する結果を得た.欧文誌に2本の論文として発表した.卵細胞が非対称分裂を引き起こす前に,2種の競合するタンパク質が細胞膜上に局在化して分布することが実験で知られている.これを表現するバルク・サーフィス拡散モデルが提案されている.この数理モデルの数学的な解析を行い,あるパラメータ領域では,確かに局在化するパターンが存在することを示し,これに関して講演を行った. 3)分担者の川上は,単位球の外部領域における動的境界条件を有する拡散方程式の拡散極限に関する考察をまとめるとともに,分数冪Hardy--Henon 方程式の解構造の考察と,高階放物型方程式の可解性に関する研究を行なった.これらに関しては上記のように欧文誌に論文として掲載が決定しているともに,継続研究についても現在進行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的としている非局所項を含む4つの問題のうち,非局所項を含むアレン・カーン方程式については,上記研究実績の概要に記したように,分岐曲線が等高線に一致する曲面の具体的なパラメータ表示を得た.さらに,点対称な解の安定性について数学的な証明を与えた. 細胞極性の発現の数理モデルの拡散係数を∞とした定常極限方程式に対しても,分岐曲線を決定する曲面の具体的なパラメータ表示を得た.現在,拡散係数が有限の場合の定常方程式に対して分岐曲線を決定する曲面の具体的なパラメータ表示の存在の感触を得ている. KST交差拡散方程式の極限方程式については,論文発表のために数学的証明の簡略化を続けている.また,供給項をもつ Gierer-Meinhardt 系の shadow system についても検討を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
非局所項を含むアレン・カーン方程式については,今回得られた分岐曲線の表示式を利用し,2次分岐点の局所的な分岐方向の決定の計算を進め大雑把ながら計算ができてきた.また,非対称解は数値計算結果から不安定と確信しているが,その数学的な証明のためにキーとなる,2次分岐した分岐曲線の大局的な単調性についても,複雑な計算の後,これについても感触を得ている.これらについてさらに計算を進め,精緻化して論文として発表していきたい. KST 交差拡散方程式の極限方程式については,2つある極限方程式のうち最も重要な第1方程式に焦点をあてて研究してきたが,第2方程式の研究が急速に進んできており,それらの解はうまくパラメータを動かすと繋がっていると思われる.まず,数値的にそれを調べこの推測を確かめたい.今後,以上のことに焦点をおきながら探求し,同時に,得られた成果を利用し関連する未解決問題の解決の応用も視野に入れて研究を推進していく.
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Causes of Carryover |
令和2年度の直接経費計 900,000円で,品目別内訳は,物品費 200,000円,旅費 500,000円,人件費・謝金 150,000円,その他 50,000円であった.しかし,直接経費支出額は計 210,737円で,品目別内訳は,物品費 210,737円,旅費 0円,人件費・謝金 0円,その他 0円で,直接経費差異は 689,263円である.令和元年度からの繰り越し額の 140,964円と合算して,次年度使用額は 830,227円となった. 物品費はほぼ予定通りに使用した.旅費が 0円となったのは,コロナウイルス感染拡大のため,予定していた国際学会が延期となり,さらに,共同研究のための国内外の出張が出来なくなったためである.人件費・謝金とその他の差異の原因は,対面で逐一結果をみながら実行する予定であった数値計算の作業補助等の依頼を,感染拡大防止の観点から自粛したことが理由である. 2021年度は,感染状況に注意しながら,共同研究のための打合せの出張を行い,数値計算を組織的に行ない新しい事実を発見し,それらをもとに数学的な解析をすすめていきたい.これらのために,請求した助成金と次年度使用額 830,227円をあわせて有効に使う予定である.
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Research Products
(10 results)