2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K03595
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 敏 東北大学, 理学研究科, 教授 (90331959)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 楕円型方程式 / 球対称解 / 正値解 / 一意性 / 準線形 / 解曲線の長さ |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形な微分作用素をもつ準線形楕円型偏微分方程式系の単位球における正値球対称解の存在について研究を行った。p-Laplace 作用素はべき乗の関数を含むものであるが、本研究ではそのべき乗関数の部分を、より一般的な関数である正則変動関数に置き換えた問題について考察し、過去の p-Laplace 作用素について得られた結果を完全に含む形で一般化することに成功した。 線形系において、小さな摂動に対しては解構造が変化しないという結果が様々得られているが、本研究では、ある準線形系に関してもそのようなことが成り立つことを示した。ある準線形楕円型方程式の球対称解が満たす方程式は、変数変換により、ここで扱った準線形系の摂動問題に帰着する。本研究の結果を応用すると、例えば、その準線形楕円型方程式の無限個の正値特異球対称解の存在なども証明することができる。 円環領域における楕円型方程式の正値球対称解の一意性について研究を行った。楕円型方程式の球対称解の一意性の証明では、もとの方程式の解と線形化方程式の解によるある種の恒等式が鍵となることが多い。本研究では、以前に研究代表者が発見した恒等式の一般化を行い、そこに現れる比較関数を巧妙に選ぶことにより、あらたな正値球対称解の一意性の結果を導くことに成功した。 ある種の2次元非自励系微分方程式系の原点に漸近する解の軌道の長さが有限長であるか無限長であるかについて研究を行った。原点に漸近する解はある意味で安定な解であるが、解軌道が短いほどより安定であると言える。解軌道の長さによって解の安定性を測る試みは最近始まった研究であり、未解決な部分が多い。本研究では解軌道の有限長と無限長の両方の判定法を導いているが、それらはある意味で鋭いものであり、特別な場合には、それらをあわせると解軌道が有限長であるための必要十分条件が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、計画してた研究打ち合わせ、研究集会の開催及び参加がすべて延期になっている。従って、現在までの進捗状況は、当初の計画よりやや遅れていると言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、double phase とよばれる非線形な微分作用素をもつ準線形楕円型偏微分方程式系の単位球における正値球対称解の存在について研究を行う。3次元単位球面上の楕円型方程式の正値解の多重存在性について研究を行う。一次元リウヴィル型方程式の正値解の分岐問題に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定してた出張や国外からの研究者の招へいが延期となったため、次年度使用額が生じた。次年度でそれらを実施する予定である。
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