2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03595
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 敏 東北大学, 理学研究科, 教授 (90331959)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 楕円型方程式 / 球対称解 / 正値解 / 一意性 / 準線形 / 解曲線の長さ |
Outline of Annual Research Achievements |
円環領域及び外部領域における楕円型方程式の境界値問題の正値球対称解の一意性について研究を行った。エネルギー関数が満たす不等式と Pohozaev 型の恒等式を組み合わせせることにより、正値球対称解の一意性を示すことができた。これは、解の特徴を精密にとらえ、巧妙な技法を積み重ねることによって導かれるものである。得られた結果は一般的なものであり、過去の結果では得られない新しい部分を含むものである。例えば、非線形項が二つのべきの和の形である場合には Yadava の1997年の結果が知られているが、その結果では判定できない部分が残されていた。今回得られた結果を応用すると、その未解決な部分に結論を与えることができる。 Hardy 項をもつ準線形楕円型方程式の球対称解の原点近傍及び無限遠方での漸近挙動について研究を行った。その方程式は重み付きの Hardy の不等式の Euler-Lagrange 方程式にもなっており、Hardy の不等式の最良定数の値を境にして、考えている準線形楕円型方程式の解構造は大きく変化する。また、ここで考えている方程式は p-Laplace 作用素を含むものであるが、p=2 の場合は Euler の微分方程式であり、すべての球対称解は初等関数を用いて表される。一方、p=2 でない場合、そのようなことは成り立たないが、方程式は準線形自励系に変換される。以前、その準線形自励系について考察しており、そのときの知識を応用することで、今回の方程式の漸近挙動について精密な結果を得ることができた。さらにここで得た漸近挙動の結果を用いることで、Pasic-Wong (2009) によって残された Euler 型の微分方程式の振動解の有限長性に関する未解決問題について、答えを与えることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、計画してた研究打ち合わせ、研究集会の開催及び参加が延期やオンライン開催になっている。従って、現在までの進捗状況は、当初の計画よりやや遅れていると言わざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
1次元の Henon 型方程式の正値対称解の一意性と非一意性について調査する。その非一意については、精度保証付き数値計算を応用する。3次元単位球面及び双曲空間上の楕円型方程式の正値解の一意性と多重存在性について研究を行う。精度保証付き数値計算を利用した楕円型方程式の符号変化する球対称解の一意性の判定方法を構築し、その応用を試みる。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせや成果発表のため、国外への出張や、国外からの研究者の招へいを予定していたが、新型コロナウイルスの影響により、計画を変更してそれらを延期することとしたため、未使用額が生じた。 このため、それらを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(10 results)