2019 Fiscal Year Research-status Report
Combinatorics of graphs, posets, matroids, and finite discrete structure and their applications
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19K03598
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 良夫 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20650261)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グラフ / ポセット / マトロイド / 離散構造 / 組合せ論 / 最適化 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果は以下の通りである。 (1)グラフの「無符号ラプラシアン行列」は、グラフの隣接行列と次数対角行列の和として定義され、Cvetkovic, Rowlinson, & Simic によって2007年に導入された概念であり、「Q-整数グラフ」とは、無符号ラプラシアン行列の固有値が全て整数であるようなグラフのことである。Q-整数グラフに関する研究として、Simic & Stanic は2008年の論文で、グラフの「辺次数」が小さい場合に、Q-整数グラフの分類を与えていた。本研究では、グラフの「辺次数」が高々6である場合に、Q-整数グラフの構造の分類についての結果を与えた。 (2)chordal graph の部分クラスとして、新たに interval-like graph を定義しその性質について研究を行った。これは、interval graph を含むグラフクラスである。また、bull-free chordal graph や diamond-free chordal graph は、interval-like graph であることを示した。 (3)アルゴリズム的ゲーム理論・メカニズムデザイン分野における問題を扱った。本研究では「可分財」を、財への選好を表す効用関数を持つ個人への貨幣を用いない効率的かつ公平な分配方法についての研究を行った。その結果として、近年、ゲーム理論・ミクロ経済学分野で盛んに研究されているランダム割当問題とその様々な拡張に対する割当メカニズムが、離散最適化分野で古くから研究されていた劣モジュラ構造を持つ問題に対するアルゴリズムと密接な関係があることを明らかにした。さらに、Bogomolnaia & Moulin の割当メカニズムが、可分財に劣モジュラ制約があるようなより一般的な問題に拡張できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフ・ポセット・マトロイドと有限離散構造の組合せ論についての理論研究において、いくつかの研究成果が得られたため、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、引き続き、グラフ・ポセット・マトロイドと有限離散構造の組合せ論についての理論研究を行うとともに、その応用についての研究も進めていくことで、研究課題に関する研究成果をさらに出していけるよう推進していきたいと考えている。
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