2021 Fiscal Year Research-status Report
計算可能性理論,記述集合論,位相空間論における階層の究極的解析
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19K03602
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木原 貴行 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (80722701)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 記述集合論 / 計算可能位相 / Lawvere-Tierney位相 / エフェクティブ・トポス / 実現可能性 / 擬ポーランド空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究の一つとして,計算可能解析学および記述集合論で近年深く研究されている擬ポーランド空間のイデアル表現について,京都大学のM. de Brecht氏およびV. Selivanov氏との共同研究を行った.擬ポーランド空間は,ポーランド空間だけでなく領域理論に現れるような距離化不可能空間も統一的に扱うための重要な空間概念であり,イデアルを用いて空間を表すことができると知られている.この共同研究においては,擬ポーランド空間のイデアル表現における記述複雑性の分析に着手し,様々な位相的性質のΠ^1_1-完全性を示した. また,本年度の研究の中心としては,エフェクティブ・トポス上のLawvere-Tierney位相(以下LT-位相)の研究に大きな進展が見られたため,そちらに研究の方向性の舵を切ることにした.まず,エフェクティブ・トポス上のLT-位相を,計算可能解析学における拡張Weihrauch次数の観点で捉え直すことができることを明らかにした.これを利用して,LT-位相に関する Lee-van Oosten の問題すべてに解決を与えた. また,相対部分結合子代数上のアセンブリの圏のある種の完備化としてトポスを得ることができるが,相対部分結合子代数の概念が明らかに記述集合論と関わっているにも関わらず,従来研究において相対部分結合子代数と記述集合論を結びつける従来研究が存在しなかったため,記述集合論的な観点からの整備を行った.たとえば,記述集合論におけるΣ-pointclassの概念が常に相対部分結合子代数を与えることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年に報告したように,当初の主目的であったマーティンの第一予想は解決しているので,研究計画の枠外に舵を切る必要があった.これについて,エフェクティブ・トポス上のLT-位相の研究において目覚ましい進展が見られた.一般に,相対実現可能性トポス上のLT-位相と計算可能解析学におけるWeihrauch次数の概念が結びつくなど,当初の想定外の発見であり,これを用いてLee-van Oostenの問題がすべて解決できるなど,想定を遥かに超えた研究成果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では大きな研究成果を得たものの,研究課題の中心から方向性が逸れてしまったため,今後の方針としては,本年度に得た相対実現可能性トポス上のLT-位相に関する成果を,本研究課題の中心である記述集合論の分野に反映させたとき,どのような応用が見られるかを分析する.特に,今年度,記述集合論におけるΣ-pointclassから常に相対実現可能性トポスを得られることを示したため,このようなトポスの構造を分析し,特にWadge次数との関連性を探る.また,前年度以前に,ボレル可測関数のWadge次数のシンタックスの順序代数的構造を明らかにしているため,この概念を抽象化して,その圏論的側面を探るのも一つの課題である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,予定していた国際会議参加や国際共同研究実施のための出張等が中止となり,予算を使い切れなかった.
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Research Products
(11 results)