2021 Fiscal Year Research-status Report
Large cardinals, determinacy, and the analysis of the Chang+ model
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19K03604
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
池上 大祐 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (20747208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 数理論理学 / 集合論 / 巨大基数公理 / 無限ゲームの決定性 / 記述集合論 / 決定性公理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自然数を一般化した無限の数(無限基数)と、チェス・囲碁・将棋といった2人でプレーするボードゲームを一般化した無限ゲームの関係について考察する。2021年度は、以下の二種類の研究成果が得られた: 1) 決定性公理を強めた実数決定性公理を仮定したとき、実数直線上のσ-イデアルIで強制法P_IがプロパーとなるどんなIに対しても、実数の集合はすべてI-regularとなる。 2) ZFの下で決定性公理とV=L(R)を仮定したとき、ある強制拡大V[G]で、決定性公理が成り立ち、かつ順序数Θの新しい部分集合が付加されるものが存在する。 上記の成果 1) により、ラムゼーの性質をはじめとする、実数の集合についての多くの性質が、実数上の無限ゲームの決定性から従うことがわかった。また、成果 1) におけるイデアルIが比較的単純な時は、決定性公理を少し強めたAD^+からも、実数の集合がすべて I-regular となることもわかった。これらの研究成果は、論文としてまとめ、国際学術雑誌へ投稿した。(2022年4月の時点で論文がアクセプトされ、オンライン出版されている) 上記の成果 2) により、順序数Θの新しい部分集合を付加しながら決定性公理を保つ強制法が存在することがわかった。今までは、順序数の集合を付加しながら決定性公理を保つ強制法は、Θよりも大きな順序数に対してしか得られていなかった。今回の研究成果で、L(R)内のHOD上の強制法をL(R)でうまく活用するテクニックが見いだせた。この研究成果とその一般化について、現在、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、Chang モデルや Chang+ モデルの分析について新しい成果を得ることができなかった。Chang モデルに対するシャープの概念を分析する際に必要なPrikry-typeの強制法についての論文の理解がなかなか進まないのが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
Chang モデルや Chang+ モデルの分析の研究に少し行き詰っているので、2022年度は、2021年度の「研究実績の概要」で述べた研究成果 1) と 2) をさらに推し進める研究を続ける予定である。1) については、決定性公理を少し強めた AD^+ の下や Solovay model において、実数直線上のσ-イデアルIで強制法P_IがプロパーとなるどんなIに対しても、実数の集合はすべてI-regularとなるかどうか、2) については、実数を付加しつつ決定性公理を保つ強制法が存在しうるかどうか、調べる予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、コロナ禍においてほとんどの仕事を在宅勤務で行った。その結果、参加を予定していた多くの研究集会がキャンセルされたり、対面での参加を自粛したため、使用する予定だった旅費を全く使うことができなかった。次年度使用額が生じたのはそのためである。 2022年度は、コロナの状況が良くなれば、国内・海外の出張、海外からの研究者の招へいを検討し、研究費を本研究のために使用する予定である。
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