2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of combinatorial problems caused by the crossing of chords
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19K03607
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
中上川 友樹 湘南工科大学, 工学部, 教授 (20386890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幾何グラフ / コードダイアグラム / 弦展開 / 三角形分割 / ヤング図形 |
Outline of Annual Research Achievements |
円周上の有限個の点集合Vを頂点集合とし,それらを両端点とする弦の集合Eを辺集合とするグラフを幾何グラフG=(V,E)という.なお,本研究における幾何グラフの定義としては多重辺は認めるがループは認めない.幾何グラフGが円の内部で互いに交差する2本の弦ac,bdを持つとき,Gにおいてac,bdをab,cd及びbc,daに置き換えて2つの幾何グラフG1,G2を生成することをGの弦展開という.与えられた幾何グラフGを出発点としてこ弦展開操作を繰り返して可能な限り行うとGのみによって決まる非交差幾何グラフの重複集合が一意に定まる.この重複集合の位数をGの展開数と呼ぶ.またGから生成される非交差幾何グラフHの個数を(G,H)の重複度という.2021年度では,主に幾何グラフの弦展開の研究を進めた. 各頂点の次数が1である幾何グラフをコードダイアグラムという.コードダイアグラムの弦展開の性質については既に研究が進められていた.特にコードダイアグラムの展開数はコードダイアグラムから自然に得られる交差グラフについてのタット多項式の具体的な値と対応することが知られている.また,コードダイアグラムの重複度はVを頂点とする凸多角形の三角形分割に付随するローラン多項式の係数で表されることが知られている. 本研究では対象を幾何グラフに拡張して調べた.幾何グラフは交差グラフとの直接の対応は無いため,コードダイアグラムにおいて得られた展開数についての公式は得られない.そこで与えられた幾何グラフGについてその次数2以上の頂点を次数に等しい個数の新たな頂点に置き換えることによりコードダイアグラムG(E)を構成しGとG(E)の展開数,重複度との関係を調べた.特に,幾何グラフの重複度も三角形分割に付随するローラン多項式の係数で表されることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幾何グラフの弦展開の性質について研究を進めることができた.特に幾何グラフの重複度が三角形分割に付随するローラン多項式の係数で表されることがわかった.また,ある種のコードダイアグラムの展開数,重複度がある条件を満たすと0-1ヤング図形の個数と等しいこともわかった. 研究成果の発表については,コードダイアグラムの重複度に関して国際会議(28th British Combinatorial Conference)で発表した.また,幾何グラフの弦展開と0-1ヤング図形との関連について国内会議(応用数学合同研究集会)で発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
幾何グラフの弦展開については新規の研究のため,まず今までに得られた結果(その定義,基本的な幾何グラフの展開数,コードダイアグラムの弦展開との関係,重複度と三角形分割に付随するローラン多項式との関係)を論文にまとめていく.当初の計画ではコードダイアラムについて,重複度と三角形分割に付随するローラン多項式との関係を示す論文を執筆予定であったが結果を幾何グラフに拡張できることが解ったため,論文の構成を見直す. 幾何グラフの弦展開と0-1ヤング図形との関連については既に結果を論文にまとめて現在論文誌に投稿中であるが査読結果をみながら今後の進展を検討する. 弦展開以外の研究対象として,k-三角形分割とk-Dyck扇との対応がある.この2つの離散構造の間に1対1対応があることは知られているが,その対応は複雑なものであり必ずしも両者の関係が明らかにされているとは言えない.両者の対応関係の明確化について検討していく.
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Causes of Carryover |
当科研費の主要な支出費目としては国際会議への旅費を予定していた.しかしながら2021年度に参加した国際会議(開催国:イギリス)がコロナ禍によりリモート開催となった.また国内会議もリモート開催となったため,次年度使用額が生じた. 2022年度においてもコロナ禍および欧州での戦争勃発により旅費が必要となる国際会議へ出席できるかどうかは未定である.
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Research Products
(2 results)