2022 Fiscal Year Research-status Report
A study of combinatorial problems caused by the crossing of chords
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19K03607
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
中上川 友樹 湘南工科大学, 情報学部, 教授 (20386890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幾何グラフ / コードダイアグラム / 三角形分割 / 増大木 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主に次の2つの研究を進めた. 1. 細分された辺を持つ凸多角形の三角形分割の数え上げ問題 各1≦i≦sについて,凸s角形のi番目の辺をn_i個の点により細分する.Pの頂点集合Vと内分点の集合Wについて,V∪Wの点を端点とする対角線によりPの内部を三角形領域に分割することをPの三角形分割と呼ぶ.Pの三角形分割全体の個数をf(s;n_1,n_2,…,n_s)と定義する.本研究ではfのs変数母関数Fを決定した. 2. コードダイアグラムの展開と偶奇増大木に関する数え上げ問題 円における弦の集合で、どの2つの弦もその端点を共有しないとき、その集合をコードダイアグラムと呼ぶ.コードダイアグラムEが2-交差S={x1x3,x2x4}を含むとする.このとき、EのSについての展開とは、Eを新たな2つのコードダイアグラムE1=(E-S)∪{x2x3,x4x1}とE2=(E-S)∪{x1x2,x3x4}に置き換えることである.どのようなコードダイアグラムE についても、それを出発点として展開を繰り返し、非交差コードダイアグラムまで展開し尽くすことができる.このとき、最終的に生成される非交差コードダイアグラム全体の重複集合NCD(E)は,展開の仕方に依らずEのみで決まる.NCD(E)の位数をEの展開数とよぶ.[n*]=(n以下の非負整数)を頂点集合とする有向木で,すべてのiからjへの有向辺ijがi<jを満たしているものを[n*]上の増大木と呼ぶ.分割[n*]={0}∪I0∪I1を考える.Tが[n*]上の増大木であり,iがI0(またはI1)に含まれるとき,iの出次数が偶数(または奇数)であるとき,Tを(I0,I1)-偶奇増大木と呼ぶ.本研究では,ある条件を満たすコードダイアグラムの族について,その族に含まれるコードダイアグラムの展開数が,ある偶奇増大木の個数と一致することを証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、本研究課題で進めようとしていた主要な研究課題は、(a)一般三角形分割,と (b)弦の交差の展開,に関連する研究であった. 2022年度では,弦の交差に関連する問題として、(1)細分された辺を持つ凸多角形の三角形分割の数え上げ問題と(2)コードダイアグラムの展開と増大木に関する数え上げ問題、を進めた.(1)については国内会議(応用数学合同研究集会, 2022年12月)で発表した.また,結果を論文としてまとめ、論文誌に投稿中である.(2)については2023年度の国際会議の発表を予定している.また、その内容に至る前段階として、コードダイアグラムの展開と0-1ヤング図形の対応についての結果を論文誌に投稿したが、現在査読者から改善を求められている. このうち(1)については、当初想定していた課題とはやや違う方向の研究となっている.また(2)については、(b)の研究課題の範囲である. やや遅れている理由は、当初進めようとしていた主要な研究課題のうち、(a)の研究についての進展がないこと、及び(b)に関する最近の研究が広く認知されていないことである.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度では次の2点に注力する予定である. a. 一般三角形分割について 2018年に,k-三角形分割とk-非交差格子路との1対1対応(この対応は既知のものである)を調べて,その対応から「k-三角形分割の出次数列」と「k-非交差格子路の遅延列」の関係を導くことができることを発見した.この結果は国内会議(2018年度応用数学合同研究集会)では発表済みであるが、論文としては未だまとまっていない.この内容について再度精査して論文としてまとめることを目標とする. b. 弦の交差の展開について 2021年度および2022年度において、コードダイアグラムの展開と0-1ヤング図形および増大木に関する対応に関する研究に進展が見られた.これについて研究を継続し発展させていく.現在までの研究で,(1)ある与えられたコードダイアグラムから展開される非交差コードダイアグラムの個数,(2)ある条件を満たす0-1ヤング図形の個数,(3)ある条件を満たす偶奇増大木の個数,が一致することがわかっている.今後、考えうる最大の改善点は、これらの対応する集合(重複集合)間に具体的な全単射写像を見つけることである.また、現在までに得られている結果は、対象とするコードダイアグラムの族としては限定的なものである.さらに広いクラスについて類似の性質が成立するかどうかを調べていく.
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Causes of Carryover |
2022年度において当初計画としては、欧州における国際会議参加の出張旅費として支出を予定していた.しかし、国内の新型コロナウイルス感染状況を鑑み、校務(授業など)での学生との接触を考慮して国外への旅行は控えることとした.このため国内での研究集会への旅費としてのみ支出となり、次年度使用額が生じた. 2023年度では、国際会議参加の出張旅費として支出を予定している.
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Research Products
(2 results)