2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the innovative nature of Seki Takakazu's mathematics: centering on his theory of equations
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19K03609
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Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
小川 束 四日市大学, 関孝和数学研究所, 研究員 (90204081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 光生 四日市大学, 関孝和数学研究所, 研究員 (80053677)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関孝和 / 宅間流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は『関孝和全集』(共編著,全3巻,4064ページ,岩波書店,2023年10月)の刊行が最大の成果であった.関の方程式論に関する著作『病題明致之法』,『開法飜変之法』には記述が不十分な部分があるため厳密には解明できない点も残っているが,現状で妥当と思われる解釈を与えることができた.これ以上の理解は新資料の発見がない限り難しいと思われる. 『病題明致之法』,『開法飜変之法』に加えて『括要算法』,『解伏題之法』,『開法飜変之法』,『方陣之法』など関の著作を検討すると,関が当時課題となっていた問題の解決するための統一的な方法の確立を目指していたことがよくわかる.そこに関の革新性があり,またその本質を受け継いだ数学者は生まれなかった点で関の孤峰性を見る事ができる.本全集に解説,現代語訳,関係年表,用語事典(第1巻),訓読,写真(第2巻),関係資料(第3巻)を含めることで,その数学思想の総体を提示することができた. 昨年度に引き続き田中紀子氏(奈良学園大学)と宅間流・岡之只(1791--?)の著作『起術解路法』のうち『省約術』,『約式術』の解読を進めた.宅間流の式変形には関流には見られない工夫がある.それを可能にしたのは宅間流での数式の表現方法で,数式の表現方法がその思考に強く影響する事を示している.関がそのような工夫をしなかったのはそれが不要であったからである.このことは各時代の問題群による学問の歴史性を示しているものであり,関を開祖とする関流のみを見ていてはわからない.周辺を見ることで中央の本質が浮かび上がる一例である. 具体的な活動としては定期的なセミナー参加,開催に加えてP. Wong,Karaisl先生を招いてSeminar on Seki Takakazu’s mathematics theoryを開催した.また関流,宅間流両方の算額が掲額されている善光寺他の調査を行った.
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[Book] 関孝和全集2023
Author(s)
上野 健爾,小川 束,小林 龍彦,佐藤 賢一
Total Pages
4064
Publisher
岩波書店
ISBN
9784000913287
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