2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K03615
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 知哉 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任准教授 (90508277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 正則化 / 逆問題 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は l0ノルムを正則化項や不等式制約に持つ最適化問題として定式化された問題を解くことで信号や画像のノイズ除去, トレンド推定等を行う方法について研究した。 l0ノルムに基づくノイズ除去方法はこれまでにもいくつか提案されているが、画像や信号のノイズレベルが場所に依らないことを前提としており、単一の正則化パラメータしか扱われていない。ノイズレベルが場所により異なる場合でも通用するよう、複数のパラメータを持つl0ノルム最適化問題を定式化し、その数値計算アルゴリズムを開発した。単一の正則化パラメータについてはFFTをベースとする高速化が可能であるが、複数のパラメータを持つ場合は、FFTによる直接的な高速化ができない。そこで、前処理付き共役勾配法の前処理にFFTを用いることで高速化を達成した。本手法を信号や画像のノイズ除去、信号のトレンド推定に適用し、良好な結果が得られた。 Dual Phase鋼をはじめとする材料組織の特徴を数値化するために、鋼材断面の画像を2値化し統計量や特徴量を算出することがよく行われている。画像の輝度は画像中央と画像境界付近で異なり、それに対処するには局所的にフィルターを変更する必要がある。本手法では局所的に異なる正則化パラメータを使用できるため、このような問題にも対応できると考え、Dual Phase鋼の2値化問題への適用を行った。良好な結果は得られなかったが、ベンチマークとして作成した2値化法を改良し、画素値0と1の割合をコントロールできる新たな手法を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Nonsmooth最適化問題により画像や信号からノイズ除去を行う方法については概ね順調であるが、複数の正則化パラメータの値を決定する方法が画像のノイズレベルにあわせて自動的に調整する方法に偏っており、類似した大量のデータを用いて決める本来の研究目標には至っていない。その一方で2値化問題については当初計画していなかった新たな展開があった。これらを総合し進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
類似のデータを確保し、それらを用いて正則化パラメータを決定する方法について研究を進める。また当初の計画通り、l0ノルム最適化アルゴリズムの開発を継続する。
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Causes of Carryover |
大量データを処理する必要のある研究の進捗がやや遅れており、必要なPCの購入にはいたっていない。また3月に予定していた米国出張がコロナのため中止となり旅費が未使用となった。
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