2019 Fiscal Year Research-status Report
On the structure of positive solutions for the limiting system deriving from the Shigesada-Kawasaki-Teramoto model
Project/Area Number |
19K03621
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
観音 幸雄 愛媛大学, 教育学部, 教授 (00177776)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 2種競争系 / 球対称解 / 解構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,重定・川崎・寺本(1979)により提案された個体群密度に依存する非線形な拡散(交叉拡散)を伴う2成分反応拡散系(2種競争系)を研究対象とし,その非負な定常解および周期解の解構造を理解することを主な研究目的としている. 交叉拡散係数の比と交叉拡散係数以外のパラメータを固定し,交叉拡散係数を無限大に近づけたときに得られる縮約系について研究を行い,形式的な導出方法により,線形な拡散を伴う反応拡散系におけるシャドウ系(一方の拡散係数を非常に大きくした場合に得られる縮約系)に類似した常微分方程式と偏微分方程式が強いカップリングした2成分系が得られた. 交叉拡散係数の比が0である場合にはY. LouとW.-M. Niの論文(1999)で示されている2種類の縮約系が導出できていること,交叉拡散係数の比が正である場合に得られた縮約系は,Y. Louと W.-M. Niが示した縮約系の拡張になっていることが確認できた.Y. LouとW.-M. Niは彼らが得た縮約系の妥当性を数学的に示しているが,この度得た縮約系は形式的なものであり,その妥当性について数学的な証明をまだ与えることができていない. 得られた研究成果をまとめて学術論文として出版することができ,北海道大学で開催された研究集会において口頭発表を行った.得た縮約系において,その時間大域的な解挙動が単純ではないことは数値計算により確認されているが,定常解および周期解などの解構造について多くの未解決問題が残されている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交叉拡散係数を無限大とした場合についての縮約系をいくつか得ることができているが,各縮約系は形式的に導出したものであり,その妥当性については数学的に証明できていない.また,縮約系の解構造についてはほとんどが未解決である.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き,得られた縮約系の解構造の解析を通して,2種競争系の正値定常解の解構造を研究する.その際に,MathematicaやAUTOなど数値的な手法を用いて,2種競争系およびその縮約系の解構造を模索する.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で学会などの開催が中止になり,予定していた旅費が使用できていない.繰越金については来年度の旅費として使用する.
|