2019 Fiscal Year Research-status Report
量子ウォークのモデル間における相互複写可能性と長時間極限定理の研究
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19K03625
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
町田 拓也 日本大学, 生産工学部, 講師 (20637144)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 量子ウォーク / 極限定理 / 複写可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、著書1本(共著)の出版と国内招待講演2件の研究発表を行った。著書は国内出版社(培風館)からの出版で、『量子ウォークの新展開 数理構造の深化と応用』のpp.133-146. (第7章「フーリエ解析による極限定理の導出」)を担当執筆した。量子ウォークの解析を行うために用いられるフーリエ解析について、最も基本的な量子ウォークモデルである1次元格子上の量子ウォークを例に、具体的な計算と合わせて執筆した。その中で、長時間極限分布を導出するまでの過程も記述した。国内招待講演では、京都大学数理解析研究所(RIMS)で開催された「Rigorous Statistical Mechanics and Related Topics」(2019年11月20日)で、『Introduction to Quantum Walks』というタイトルのもとで講演を行った。この研究集会の目的の1つは他分野の研究者と交流議論であったため、量子ウォークの導入、背景、そして基本的な性質を中心に講演を行い、最後に自身の研究成果についても紹介した。この講演は英語で行われた。北海道大学で開催された数理科学セミナー(2020年2月13日)では、『2次元格子上の量子ウォークの極限定理』という題目のもと、日本語で招待講演を行った。内部状態を4つもつような量子ウォーカーの確率振幅が2次元正方格子上を拡散していくモデルに対して導出した長時間極限定理について発表した。また、令和元年8月にUniversity of California, Berkeleyの数学科を訪問して、F. Grunbaum Alberto教授と量子ウォークについて議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原点から出発する1次元半直線上の2周期時刻依存型2状態量子ウォークと、2点から出発する1次元直線上の時刻依存型2状態量子ウォークの間に複写可能性を発見することができた。さらに、その結果を用いて、原点から出発する1次元半直線上の2周期時刻依存型量子ウォークに対する長時間極限分布の計算に成功した。その結果は興味深く、極限分布は、原点の初期状態に依存しないことが分かった。研究成果は論文にまとめ、arXivに投稿して世界に発信すると同時に(arXiv:2003.01953)、国際雑誌にも投稿して査読結果待ちである。共著で著書(今野紀雄、井手勇介 他19名、『量子ウォークの新展開 数理構造の深化と応用』、培風館)の出版、そして、招待講演も2件行っており、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き量子ウォークのモデル間の複写可能性を発見するために、理論と計算機を併用して、モデルの構築とその数理構造を研究していく。数学的な研究だけではなく、量子ウォークの背景にある、意味のある量子物理学のモデルも考慮してモデルを構築するために、物理学の文献も調査しつつ研究を進めていく。数値計算は、コンピューターのプログラミングあるいは数式ソフトウェアの利用により実行する。2次元以上の量子ウォークモデルに対しても研究を進める予定である。モデル間の複写可能性を発見できた場合、フーリエ解析を用いて、手計算により理論的に長時間極限定理を計算する。本研究を円滑に進めるためにアドバイスが必要な場合、量子ウォークや量子物理学の専門家と議論を行う。研究進捗状況や成果は、国内外の研究集会に参加して発表する。得られた結果は、論文にまとめて国際雑誌に投稿する。同時に、ホームページ上で周知するなどして発信する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で、3月に予定していたUniversity of California Berkeleyの数学科への研究訪問をキャンセルしたため。次年度以降の研究出張に充てる。
計算機の購入を行わなかったため。計算機の購入に使用する。
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Research Products
(5 results)