2023 Fiscal Year Annual Research Report
A billiard problem arising from self-propelling particles
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19K03626
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮路 智行 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20613342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SINCLAIR Robert 法政大学, 経済学部, 客員教授 (50423744) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己駆動粒子 / 数理モデリング / ビリヤード問題 / 力学系 / 微分方程式 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
非線型・非平衡現象によって自己駆動的に動く円板を有界領域に閉じ込めたときに生じる運動の軌跡について力学系の観点から研究してきた.特に,水面に浮かべた樟脳円板の運動に対する数理モデル(Chen-Ei-Mimuraの移動境界モデル)とその縮約方程式である粒子モデルおよびさらに簡約化した離散力学系モデルに対する数学解析と数値実験を行ってきた.それぞれ異なる時空間スケールで現象を捉えたモデルである.運動が生じるメカニズムを記述する移動境界モデルでは運動の軌道の研究は難しい一方,メカニズムは考慮せず運動様態のみを記述する離散力学系モデルは比較的易しい.この現象では領域内部では漸近的に等速直線運動し,領域境界に近づくと境界に衝突せずに進行方向を変える.その際,入射角よりも反射角のほうが大きくなる(角度は境界の法線から測る.反射によってより境界に近づく)という性質により,完全弾性反射を仮定する数学的ビリヤード問題と異なる漸近挙動が期待される.本研究により,粒子モデルで運動が非常に遅い極限における入射角と反射角の関数関係についての予想を得て,発表した.この関数関係は離散力学系モデルの基礎となるものである.粒子モデルは移動境界モデルにおいて運動が非常に遅い(パラメータが分岐点に十分近い)状況における近似を与えるものであり,平面上の反応拡散系のスポットダイナミクスのより深い理解の足掛かりとして意義をもつ.分岐理論に基づく縮約であることから,樟脳モデルに限らず非平衡ビリヤード的な振る舞いを示す系にも同様の予想が成り立つと期待し,最終年度は引き続き粒子モデルにおける境界との相互作用項の一般化を検討した.また,非平衡ビリヤード問題に関するこれまでの研究を取りまとめた原稿の準備を進めた.
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