2021 Fiscal Year Research-status Report
study on discrete point sets to produce new applications of lattice theory and algebraic computation
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19K03628
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
富安 亮子 (大石亮子) 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (30518824)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非周期的パッキング / メッシュ生成 / 位相問題 / 半正定値計画法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、 以下の(a)多様体上の非周期的パッキング・メッシュ生成の新手法、(b)種々の回折データからの位相回復の厳密解法、特に半正定値計画法(SDP)の応用に関わる数学研究、を2つの柱としており、それぞれ結晶学分野への応用を念頭に置いている。昨年度・本年度は、九大の海外教育研修(SENTAN-Q)を通常業務に加えて実施する必要性から、時間的な制約が生じたが、これまでに継続したプロジェクトの一環として、特に、公開レベルの研究成果として以下を得た。 (a) 特許出願(該当の論文はarxivにあり、現在投稿中である。)本手法で得られるメッシュは定義より等面積性と呼ばれる性質を持つ。結晶学では、準結晶など結晶とは異なる非周期的な原子の配置に関わる。 (b)3年に一度開催される結晶学分野の国際会議IUCr25において2018年に発表した論文の内容に関して、磁気構造解析に関するセッションで講演を行った。これは単位胞内の原子座標候補と回折強度データに対してSDP緩和法を適用した結果に関するもので、密度の割り当てを行い、解の一意性の判定も含めた大域的最適解への収束が短時間で得られるというものである。 また、EBSD ab-initio indexingに関わる新規理論・手法・ソフトウェアについての論文がJournal of Applied Crystallographyに受理された(日本製鉄との共同研究成果)。 また別途、上述の海外教育研修に関連して、香港大に1月半滞在し、Ben Kane氏およびその学生と研究成果となる論文をまとめた。これは整数論の成果になるが、回折データが種々の保型形式の線形和で表されることから、(b)の手法開発に関わる調査をこの期間に実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に述べたように、2021年1月からの2年間、九大の海外教育研修(SENTAN-Q)を通常業務に加えて実施する必要性が生じたため、時間的な制約が生じていたが、何とか平行して成果を出すことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(a)については、diagonalizable metric分野、葉層構造、準結晶の分野などの知見を活かして、一般解の自己相似性に関わる理論的研究、および、様々な事例を得るための数値実験を行っていく予定。 また対外的には、出願した新技術についてはJST新技術説明会などで紹介を行う予定になっており、創発のイベントなどもあるので、このような機会に社会・異分野連携の機会を探索しようと考えている。 (b)のついては、手法はJ-PARCのリートベルト解析Z-Rietveldソフトウェアに実装された。これによりある種の位相問題を解く解析の解の一意性の判定ができるようになったことは、これまでにない特徴である。ただし結晶構造の未知構造解析と言った場合に、結晶学ユーザが期待することはもっとdrasticな改善であるので、すでに得られている結果としてのSDPの適用事例開発は一段落させて、上記に述べたような保型形式論の応用に関わる内容に踏み込む予定である。
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Causes of Carryover |
コロナのために出張が全てオンラインになったことと、大学業務として海外研修を行うことになったため、大学から来た今年度末までの時限付きの予算を先に使用する必要があったことが主な理由である。
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