2019 Fiscal Year Research-status Report
Deformation and flatness of information geometric structure and their applications
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19K03633
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小原 敦美 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (90221168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報幾何 / 統計多様体 / 共形平坦化 / 二重自己平行 / ネットワーク非線形拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報幾何学では,リーマン計量について互いに双対的なアファイン接続のペアという概念が様々な重要な働きを見せる.従ってこれらのアファイン接続に関して自己平行な部分多様体も様々なところに現れるが,このような特別な平坦性の概念に焦点をあてて,その性質や統計・情報科学への応用を視野に入れながら研究を開始した. 19年度は,特別な統計多様体ではあるが,統計科学の様々な場面に現れる正定値対称行列集合の二重自己平行性の性質と多変量解析におけるその応用の可能性についての研究を行い,その成果を国際学会で発表し会議録で出版した(GSI19会議録参照).これらは線形構造をもつ共分散行列の最尤推定に関わる問題で,様々な分野での応用が考えられる. また非指数型確率分布が現れる統計物理的な現象に,多孔媒質方程式の非線形・異常拡散があるが,この方程式のグラフ上の対応物であるべき型ネットワーク拡散方程式の振る舞いを数値実験で調べ,ある状況で同期現象が現れることを発見しそのメカニズムを解明した(European Physical Journal Special Topic誌に掲載).ネットワーク上での拡散は,結晶格子上の拡散現象などだけでなく,コンピュータネットワークでの情報拡散,生体ネットワークでの物質拡散,ウィルスなどの拡散などの解析にもモデルとして用いられるが,これらの現象の理解の基礎的な知見となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報幾何構造における二重自己平坦性は本研究の主目的の一つであったが,正定値対称行列についてはその概念の有用性の一端を明らかにし,国際学会で公表することで広くアピールできたと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
二重自己平行性については,今後もさらに様々な多様体での特徴付け,応用可能性など解明が残っており,共同研究などもしながら研究をすすめる予定である. またネットワークでの非線形拡散は,意外なことにまだ未知の課題が数多く残っていると認識しており,情報幾何的なテクニックに加えて微分方程式,システム理論などの方法も導入しながら総合的に実施してゆく予定である.
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Causes of Carryover |
年度末の3月に東京で予定されていた情報幾何学の国際ワークショップがコロナ禍のため中止となり,予定していた旅費・宿泊費分の差額が生じた.
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Research Products
(3 results)