2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of interfacial network dynamics focused on cellular pattern formation
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19K03634
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村川 秀樹 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (40432116)
富樫 英 神戸大学, 医学研究科, 助教 (90415240)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 界面の異方性 / Finsler距離 / 積分核 / 障害物 / ガンマ収束 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は界面ネットワークのダイナミクスを記述するモデルの解析と数値解法を確立し,実際の生物学の未解決問題に適用することで問題の解明に成功したが,2022年度はこのモデルと数値解法をさらに一般化することを試みた. 具体的には,当初の研究計画に掲げた異方性のある(向きに依存するエネルギーを持つ)界面のネットワークと,位置に依存するエネルギーを持つ界面のネットワークの解析手法を探索した.すでに確立した上記の数値近似を異方性のあるケースに拡張する場合,熱方程式による拡散近似を一般の非等方的な積分核との畳み込みで置き換える必要があることがわかり,この近似が実際に機能していることをS. Gavhale氏との共著論文で発表したが,接合点を含む界面ネットワークの場合のこの近似の解析が非常に難しい問題であることもわかった. 異方性も含めて平均曲率流の世界的第一人者である研究者とも議論し,方針が定まらなかったため,2相の問題とネットワークの問題の間に位置すると言える障害物上の2相のダイナミクスをまず扱うことにした.この問題は細胞の基盤上の運動や細胞同士の接触による相互作用といった現象の理解に役立ち,応用上も意義があるのではなく,一般のネットワークの解析の踏み台になることを期待している. 障害物上の問題はエネルギーの異方性と場所への依存性という一般の場合に解析を開始し,近似スキームの安定性・整合性とエネルギー汎関数のガンマ収束の確認ができた.現在はスキーム自体の収束,そしてそこから従う解の存在の証明に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次に扱う予定だった異方性のもつ界面ネットワークの問題が難易度が高いことに納得し,分野の第一人者でも対策が思いつかないことを確認するのに時間がかかった.最終目標を視野に入れながら,より実現可能な目標を設定して研究の方針を修正したが,共同でこの問題に取り組む予定だったウィーン大学の研究者の日本訪問がコロナの関係で遅れ,新しい方針での研究が本格的に始まったのは1月後半であった.軌道修正をした問題に対して結果が得られつつあるが,当初の計画より遅れているため,補助金の期間の延長を申請させていただいた.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,一つの細胞(相)が変形しない障害物の上を運動する問題を解析することから始める.このとき,界面のエネルギーが異方的である場合と界面の位置に依存する場合も含めて考慮することを目指す.非等方的な積分核による拡散近似が収束することを証明し,この近似による数値スキームの振る舞いを調べる. 異方性のある場合が難しくても,位置に依存するエネルギーの問題をネットワークの設定に拡張し,科学的な場と細胞集団が相互作用しながら発展する応用を念頭におきつつ,連成問題の解析を進める. これと同時に,生物学の研究分担者と国内外の共同研究者と議論を重ね,細胞組織の形態形成における数理的な課題を発掘し,それに従って研究の方向性を修正していく.
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き,COVID-19感染拡大のため,予定していた出張ができなかったので,旅費の使用は計画より大幅に減少した.次年度は可能な限り,研究集会の参加や研究議論を行うための出張を増やす予定である.
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Research Products
(18 results)