2021 Fiscal Year Research-status Report
流れ問題に対する特性曲線一般化粒子法の数学的基盤の整備
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19K03638
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田上 大助 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (40315122)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一般化粒子法 / 特性曲線法 / Navier--Stokes方程式 / 誤差評価 / 安定性 / 適切性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では, 流れ問題に対する粒子法の数値計算でしばしば用いられる微圧縮Navier--Stokes方程式を導入し, 特性曲線一般化粒子法の適用を試みている. 微圧縮Navier--Stokes方程式のある極限が非圧縮Navier--Stokes方程式となることがKreiss--Lorenz--Naughton (1991) で示されているため, 得られる成果が実際に広く用いられている粒子法に対応する数学的基盤となることが期待できる. 昨年度までに, 本研究課題の目的の1つである "非圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法の導入と誤差評価" に取り組み, 導入した特性曲線一般化粒子法を創成解問題へ適用する数値実験を既に実施している. この数値実験により, 導入した特性曲線一般化粒子法の基本的な安定性や適切性を数値的に確認できた. そこで今年度は, 本研究課題の目的の1つである "導入した特性曲線一般化粒子法のより物理的に自然な実問題への適用" を目指したプログラム作成や試験的な数値実験などを行った. また "導入した特性曲線一般化粒子法の誤差評価" で用いるために, 研究代表者が従来行ってきた非圧縮Navier--Stokes方程式に対する有限要素法や移流拡散方程式に対する特性曲線一般化粒子法の誤差評価で得た知見を改良し, 微圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法の誤差評価に必要な予備的な結果を得た. これにより, 本研究課題の最終的な目的に対応した成果を得る見通しが立った. またこれらの成果を, 粒子法の研究者組織として国際的に認知されているSHERICが主催する国際会議へ投稿し, 査読を受けた後に講演を受理された. これにより, 得られた成果を粒子法の数値計算に関係する研究者の間に国際的にも周知することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
"研究実績の概要" 欄でも述べた通り, 本研究課題では, 最終的な目標である非圧縮Navier--Stokes方程式をある意味で近似する微圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法を導入している. 既に導入した特性曲線一般化粒子法を創成解問題へ適用する数値実験を実施し, 基本的な安定性や適切性を数値的に確認している. この成果を踏まえ, より物理的に自然な実問題へ導入した特性曲線一般化粒子法を適用をするために, 必要なプログラムの整備や数値実験の準備を行っている. また非圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法の誤差評価に必要となる, 研究代表者が従来行ってきた非圧縮Navier--Stokes方程式に対する有限要素法や移流拡散方程式に対する特性曲線一般化粒子法の誤差評価で得られている知見の改良や新たな数学解析の道具なども準備を進め, そのいくつかは既に成果を得ている. これにより, 本研究課題の最終的な目的に対応した成果を得る見通しが立っている. さらにこの成果を, 粒子法の主たる研究者組織の1つとして国際的にも認知されているSHERICが主催する国際会議へ投稿し, 査読を受けた後に講演を受理されている. したがって, 得られた成果が一定の国際的な水準に達していることが第三者による評価によって示されている. 以上のことから, 本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は, "非圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法の導入と誤差評価", "数学的基盤が整備された特性曲線一般化粒子法の計算機実装と誤差評価の再現実験", および "非圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法の実問題への応用" の3項目を明らかにすることを, 計画段階において目的とした. "現在までの進捗状況" 欄でも触れた通り, 目的とした3項目のうち "数学的基盤が整備された特性曲線一般化粒子法の計算機実装と誤差評価の再現実験" について, 数学的基盤の整備を後回しとしたものの, 微圧縮Navier--Stokes方程式に対して提案した特性曲線一般化粒子法の安定性や適切性について創成解を用いた数値実験により一定の成果を上げた. そこで今後は, まず最初に, 微圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法について, 研究代表者がこれまでに得ている数値解析の知見や本研究課題の期間中に得た成果などを利用してその数学的基盤の整備を図る. さらに引き続き, 微圧縮Navier--Stokes方程式と非圧縮Navier--Stokes方程式との関連性や, この段階までに得られると予想される様々な数値解析に関する知見を利用して, 非圧縮Navier--Stokes方程式に対する特性曲線一般化粒子法の数値解析を進める. また提案した特性曲線一般化粒子法をより物理的に自然な実問題へ適用し, その有効性を調査する. またこれらの成果を基に, 粒子法に対する誤差評価を重要課題として取り上げ関心を持ち当該分野において世界的に広く認知された国際会議にて成果発表を行い, 研究代表者が得た成果の国際的な周知を図ると共に, 今後の研究計画策定に必要な情報収集などを行う.
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Causes of Carryover |
感染症拡大の影響により, 本研究課題に強く関連していることから毎年参加し, 得られた研究成果の発表を行っていた国際会議SPEHRICを筆頭に, 複数の国際会議や国内学会が中止または遠隔開催となった. これにより成果発表の機会が失われただけでなく, 対面開催であれば確保できていた関連分野を国際的に牽引する複数の研究者との研究討論や研究打ち合わせの機会も失われた. これらの機会を新たに確保することで, 成果発表に伴う第三者の視点から見た研究成果の改善などより精緻な研究目的の達成を見込むことが出来る. 従って, 中止または遠隔開催となった国際会議や国内学会のために確保していた使用額を, 次年度に開催が期待される本研究課題に関連する複数の国際会議や国内学会へ参加するために, 次年度使用額が生じた. また予定よりも多くの数値実験を行うことによって得られた膨大なデータを, 上で述べた新たな研究成果発表の機会で有効に活用するために必要な計算機関連機器の整備が必要となったため, 次年度使用額が生じた.
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