2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hierarchical data mining toward molecular dynamics of biomolecules and allication to pharmacy
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19K03653
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
戸田 幹人 奈良女子大学, その他部局等, 継続研究員 (70197896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森藤 紳哉 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (30273832)
鎌田 真由美 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70749077)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時系列解析 / wavelet変換 / 非定常 / 生体分子 / 階層性 / ラチェット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体分子の動力学等の時空間階層性を持つ系の動力学に対して、集団自由度の挙動を抽出する解析手法を開拓することである。本年度は、階層性のある力学系に特有の新現象として「動的誘導構造」を発見した。分子の形のように、ゆっくり変化する集団自由度の動力学では、速い自由度の寄与を平均化し、実効的な力学系を構築する方法が用いられる。我々は簡単な分子モデル系で、振動励起状態に依存して集団運動の安定性が変化する現象を数値的に発見し、平均化法に依る解析でこれを確かめた。この現象は、分子の形のように、生体分子の機能発現に重要な自由度の動的挙動が、振動励起で制御できる可能性を示し、今後、重要かつ有用な知見をもたらすと考えて「動的誘導構造(Dynamically Induced Conformation)」と名付けた。この研究成果は Physical Review E 105, 064201 (2022)として発表した。科研費期間の代表的な研究成果として、もう1件、実験家の嶋本(元遺伝研教授)、理論家の奈良(岡山大学特任教授)らと共同で、DAN結合タンパク質に見られる「アンテナ効果」の理論モデルを提唱した事が挙げられる。「アンテナ効果」は、かねて嶋本らが実験で見出した現象であるが、詳細釣り合いに矛盾するとして、これまで受け入れられてこなかった。我々は、時空間階層性に起因する非平衡性が「詳細釣り合いの破れ」の原因と考えられることを指摘し、実験結果を良く説明する反応モデルを提唱した。さらに、階層性に起因する非平衡性を取り入れたラチェットモデルを考えた。この成果は Scientific Reports 10, 15624 (2020)として公表した。これは、生体における反応過程において、時空間階層性に起因する非平衡性が鍵となることを指摘するものであり、今後、大きな影響を与えると考える。
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Research Products
(1 results)