2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of first principles calculation scheme of thermodynamic phase diagram
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19K03673
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 和磨 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60525236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 熱力学状態図 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は第一原理計算を用いて遷移金属水素化物の第一原理正則溶体模型導出を行った。以下具体的に行った計算手順を示す。まずギブス自由エネルギー評価を行った。自由エネルギーは,エンタルピー項,フォノン項,固溶エントロピー項の三つからなり,これらすべてを第一原理計算より評価した。エンタルピー項は規則状態と完全固溶状態の電子エネルギーから評価した (ソフトウェアxTAPPおよびVASP使用)。フォノン項も同じく規則状態と完全固溶状態の第一原理フォノン計算から評価した (ソフトウェアPHONOPY使用)。固溶エントロピー項はクラスター展開・変分計算を用いて評価した (自作コード作成)。この計算のために,面心立方構造 (fcc) をとる金属の格子間サイトにおいて,四面体サイトに水素あるいは空隙を挿入させて作った構造データ (この構造データ系列を fcc-四面体系列と書く) を大量発生させた。ソフトウェア ATAT を用いてこの構造系列発生を行った。この例では構造データ数は132であった。fcc-四面体系列以外に,fcc-八面体系列,体心立方 (bcc)-四面体系列,bcc-八面体系列,六方最密充填 (hcp)-四面体系列,hcp-八面体系列などがある。各構造系列に対して第一原理計算を行い,構造・エネルギーデータを得た。これらのデータに対してクラスター展開法を用い展開係数を決定した。各構造系列のクラスター展開関数に対してクラスター変分法を実施し,第一原理自由エネルギーを評価した。最後にこの自由エネルギーに対して正則溶体近似自由エネルギー関数のパラメータをフィッティングより求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,申請課題を達成するために予備プログラムおよび開発ソフトウェア整備を進めた。これらを利用して,実験研究者との共同研究を多く行い論文を纏めた。研究成果について関連論文六報,招待講演三件を報告した。また開発ソフトウェア RESPACK に関する方法論を纏めた論文を作成した(現在投稿中)。このソフトウェアは2017年10月20日に公開され,2020年6月18日現在,ダウンロード総数1845件である。実験との共同研究が軌道に乗っており,申請課題を着実に実施していく体制が構築できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り,1) 申請課題を実施するためのプログラム開発,2) 具体物質に対する実証研究,2) 成果報告 (論文発表,講演,開発ソフトウェア汎用公開) を柱にして積極的に研究を展開したい。一方で,さきの「研究実績の概要」でも述べたとおり,近年,第一原理計算は有限温度物性評価のためにも適用されるようになっており大きく進化しようとしている。本研究は物質科学研究を行っている実験研究と親和性があるので,今後,着実に共同研究体制を構築させていきたい。また,本研究の取り組みに加えて新物質探索アルゴリズム開発・シミュレーションが整備されると計算物質科学研究の大きな柱になる可能性がある。こうした潮流に対応できる研究体制整備・人材育成にも注力したい。
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Causes of Carryover |
当初,ハイパフォーマンスコンピュータシステムを購入予定で,その予算に充てるつもりであったが,入札の結果,約70万円の見積もり購入金額からの減額が生じた。開札は2020年1月31日であり年度末まで時間が少なく,無理にこの70万円の予想額を必要のない経費として消費するくらいなら,次年度に必要なものの経費に充てることが有益であると考えた。この残額分70万円は,今年度購入のハイパフォーマンスコンピュータシステムの購入費に充てる予定である。
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Remarks |
RESPACKは第一原理多体摂動計算ソフトウェアである。2019/2/26にヴァージョン2をリリースした。2017/07/14に公開以来,2020/06/18まででダウンロード総数1845である。このソフトウェアの講習会も,東京大学物性研究所の協力のもと,2017年と2019年に実施した。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] "Hydrostatic pressure effects on superconducting transition of nanostructured niobium highly strained by high-pressure torsion "2019
Author(s)
"Masaki Mito, Yuichiro Kitamura, Takayuki Tajiri, Kazuma Nakamura, Ryo Shiraishi, Kazuma Ogata, Hiroyuki Deguchi, Tomiko Yamaguchi, Nao Takeshita, Terukazu Nishizaki, Kaveh Edalati, and Zenji Horita"
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Journal Title
Journal of Applied Physics
Volume: 125
Pages: 125901(1-13)
DOI
Peer Reviewed
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