2020 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive understanding of conformal field theories from various time devlopments
Project/Area Number |
19K03679
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
多田 司 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 副主任研究員 (10322603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Entanglement Hamiltonian / RIndler Hamiltonian / CFT on Minkowski space |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元の共形場理論において、通常のラディアル量子化で取られる時間発展とは異なる”時間発展”を考えることにより、系の空間的大きさが無限大になったり、エンタングルメントエントロピーの計算の鍵となる”ハミルトニアン”が得られることが理解されてきている。そこで時間発展の切り口を変えることにより、共形場理論の性質の包括的な理解をさらに推し進めることをすることを目指した研究を行った。 Wen, Ryu, Ludwigらによるエンタングルメントハミルトニアンとの関係の研究を受け、対応するハミルトニアンを包含する形のVirasoro代数を具体的に構成してきたが、その際の解析から、空間の中に穴をあけ、カットオフを導入することが必要とされていた。これによってVirasoro代数が球面上のものとは異なり、弦理論で言うone-loopに対応するトーラス上のVirasoro代数となるが、この空間にcut-offの穴が開くことを作用素代数的な観点から理解することを目指した。これによりエンタングルメントエントロピーについての深い洞察が得られると期待される。 またこれまで行ってきたユークリッド空間での研究から当初の研究計画通りローレンツ計量の時空に対象を移し、連続のVirasoro代数を含むVirasoro代数をそれぞれの時間発展の場合について構成することに成功してきたが、その物理的意味について研究を進め、また2次元以外の高次元での解析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、最初に取り組みべき問題として、Riemann球面以外での取り扱いとLorentz計量を持つ時空での共形場理論での適用を計画していたが、Riemann球面以外で最も簡単なトーラスについて応用上も重要なEntanglement Hamiltonianとの関係をつけることができた。またLorentz計量の場合についても当初の想定通りLuscherとMackによるLorentz計量の共形場理論に存在する普遍被覆空間の構造を見ることができた。しかしながらRiemann球面に穴が空くことによって現れるトーラスの数理については作用素代数的な観点から理解を進めることが数学的な難しさから時間がかかっている。またLorentz計量の場合についても高次元への拡張等興味深い展開が期待されるがこちらも時間がかかっている。 さらに適切な時点で研究会を開催し一層の進捗を図る計画であったが、コロナ渦のため現時点で研究会を行う目処がたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に進展のあった2点をさらに深く掘り下げることを目指す。Riemann球面以外のトポロジーを持つ空間についてはトーラスよりも種数の大きい面についての展開を試みる。特に球面から穴を空ける時に行った手続きを作用素代数的な観点からの理解を目指す。またLorentz計量の場合には近年盛んに研究されている無限遠上での場の理論の挙動に関してその関連を探る。 さらに当初の研究計画にある2次元より高い次元への適用、境界のある場合にBCFT、開弦との関連についての探究についても取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大により、想定していた出張等が行えなかった為。
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Research Products
(1 results)