2023 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study of topological quantum phases
Project/Area Number |
19K03680
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古崎 昭 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (10238678)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ディラック半金属 / LSM定理 / 量子スピン模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
回転対称性と時間反転対称性によって守られたディラック半金属のs波超伝導相に対して、回転軸方向にかけた磁場によって生じる磁束の中に束縛された準粒子のエネルギースペクトルについて研究した。フェルミーエネルギーがディラック点に近い場合に、準粒子スペクトルが時間反転対称な運動量付近でギャップレスになることを示した。 量子一次元スピン模型の基底状態の縮退やギャップの有無に関するLieb-Schultz-Mattis定理に関連して、ハミルトニアンのもつ離散対称性のゲージ化とスピン模型の双対性について考察した。さらに、一般の空間次元における対称性に守られたトポロジカル相(SPT相)の分類と、複数のパラメータを変数軸とした相図におけるSPT相(あるいは可逆相)のトポロジカルな構造(高次ホモトピー群)の関係について考察した。 3次元の相互作用する電子系のトポロジカル秩序相やフラクトン相に対するcoupled wire模型の構築とその解析の結果をとりまとめて論文発表した。 また、スピン軌道相互作用が無視できるほど小さい化合物において、6回回転対称性の2次元表現に対応する(スピン自由度を無視して)2重縮退したバンドが交差することによって生じる4重縮退点(ディラック点)の可能性について考察し、候補物質を探索した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディラック半金属の候補物質の探索や、そのs波超伝導状態における磁束中束縛状態について新しい研究成果を得て、論文の投稿・出版ができた。さらに、Lieb-Schultz-Mattis定理と相図のトポロジーについて一定の理解が得られた。3次元強相関系のトポロジカル秩序相やフラクトン相に関する論文を出版した。
|
Strategy for Future Research Activity |
スピン軌道相互作用の無視できる物質・化合物のトポロジカル相の研究について再検討し、s波超伝導秩序をもった脆いトポロジカル超伝導相について考察を進め、論文にまとめる。また、不純物散乱効果についての研究を継続し、オイラー絶縁体やトポロジカル超伝導体における不純物効果について結果をまとめる。
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染予防のために令和4年夏まで国内出張や外国出張を行わなかったため、前年度までの旅費が支出されずに累積していた。令和4年度後半から外国出張を再開しており、令和6年度も引き続き成果発表および情報収集のために国内および外国出張を数回行う予定である。
|