2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring a Phase Diagram of Bose Gases in a 2D Anti-Dot Optical Lattice
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19K03685
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 俊哉 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80452259)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ボース・アインシュタイン凝縮 / 光格子 / アンチドット光格子 / ボース・ハバードモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度は、冷却用の種々の光源の改良から始め、生成した原子ビームの冷却の実験を再開した。しかしながら再び困難な問題に直面した。メインとなる真空ポンプの1つであったターボ分子ポンプが突然故障し、超高真空系部分も含めた全体の系の真空度が大きく劣化し、ボース凝縮体(BEC)生成が困難な状況となった。この問題のため、R4年度後半は再び真空系改良の仕事に追われることになった。真空度改善には新たなターボ分子ポンプが必要となったが、半導体不足により中古ポンプでさえ入手困難な状況であった。別予算により2月にようやくスペアのターボポンプを入手し、現在、真空度改善のためベーキングの作業を行っている。 R4年度の実験の成果としては、外部共振器型半導体レーザーのスペクトルに混在しがちであった不要な周波数成分を抑制したうえで、さらに増幅用レーザーのビームラインも改良し、通常なら経年劣化する出力パワーの値(光ファイバーから出た後の出力値)を5年前のレベルにまで大幅に改善できた。これら改良のもとで原子ビームの減速、磁気光学トラップ、3次元光格子内での偏光勾配冷却を行い、近赤外光による圧縮型2重双極子トラップ内へと冷却原子を誘導した。前年度までに改良していた近赤外光のパワー増大の効果もあって、最盛時の8割近くまでトラップ導入原子数が回復できた。これにより、真空系の問題が解決されれば、大きなBECの高速生成およびその後のアンチドット光格子の研究へと進むことができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
再度の真空系のトラブル、しかも主力級ポンプの1つであるターボ分子ポンプの故障は全く想定していなかった。ポンプの修理も見通しがつかず、別途予算で中古のポンプを何とか確保した。しかし、実験は超高真空下で行われなければならず、真空問題の解決には少し時間を要する。真空系トラブルからのリカバーを最優先に考え、再度、研究終了年を1年延期することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、最優先課題として取り組んでいる真空系の問題が解決されれば、双極子トラップを圧縮し原子気体の蒸発冷却を進めることにより、巨大なボース凝縮体(BEC)を高速で生成することが可能と考えている。その後は、2次元アンチドット光格子系に導入されたボース気体の位相コヒーレンスの研究、2次元および次元のクロスオーバー領域でのボース気体のふるまいなど、本格的な研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
BEC生成の最適化を行っていた過程で、主力の真空ポンプの1つが突然故障した。実験は超高真空下で行われなければならないが、ポンプの修理の目途は立たず、代替ポンプの確保にも時間を要した。研究の最終年度であったが、真空系の問題解決が最優先であるので、研究終了年を再度、1年延期することにした。問題解決に必要な機器はすでに取得済みであり、残っている研究予算はR5年度に回し、主に光学部品の購入や研究会参加への旅費として使うことを予定している。
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