2020 Fiscal Year Research-status Report
外部電子エネルギー注入による埋もれた界面への量子ドット構造形成
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19K03694
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
遠田 義晴 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20232986)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ構造形成 / シリコン酸化膜 / 電子線照射 / 還元反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、異種材料の界面を形成後、外部から電子線を照射することにより埋もれた界面を改質し、初期界面とは異なる界面構造を作り出したり界面に微細構造を作り出したりする新たな手法を開発する。そのため電子線照射が表面界面に与える効果を詳細に分析し、反応を引き起こす仕組みの解明と、その反応制御の最適化について研究を行う。以下に当該年度に得られた研究成果について述べる。 1.電子線照射によるシリコン酸化膜ボイド形成制御 シリコン基板に形成した薄膜シリコン酸化膜を真空中で加熱すると、分解脱離反応が生じランダムな位置に基板まで貫通する微小穴(ボイド)が形成される。このボイドの位置を電子線照射により制御することを目的に、電子線照射後に通常より低温で真空加熱した。その結果、ある照射条件下でボイド形成を誘発させることが可能であることを明らかにした。電子線照射によりシリコン酸化膜が還元され、その還元シリコンが加熱によりシリコン酸化膜の分解を促進させたためと考えられる。 2.電子線照射による表面形状の変化 電子線照射でシリコン酸化膜が還元されることにより、表面形状が予想以上に変化することを観測した。20nm厚の酸化膜では、およそ5-8nmの深さで照射箇所の表面が凹み、この凹みは短時間の照射で一気に形成されること、その後照射の継続により徐々に深くなる傾向が見られたが、その変化は2nm程度であることを明らかにした。一方、凹みの面方向のサイズは、照射時間とともに増大すること、また凹みの体積は照射時間にほぼ比例することも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画通りに進展している。今後も精緻な実験を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、電子線照射によるシリコン酸化膜の還元反応が、どのような照射条件でどの程度の反応を生じさせるか、概要が把握できてきた。研究最終年度では、これまでの成果に基づき、より再現性の良い測定と、さらに詳細な実験条件を詰めていく。具体的には、還元反応と表面変形の関連性と電子線エネルギーおよび電流密度に対する依存性、酸化膜厚の違いによる還元反応および表面変形の振る舞い依存性、これらの理論的解析などである。また得られた成果を学術論文や学会発表等で発信していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当初予定していた複数の出張をキャンセルせざるを得なかった。残額は、消耗品等の他の費目にて有効に活用する予定である。
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Research Products
(6 results)