2023 Fiscal Year Research-status Report
High-quality single crystal growth of honeycomb lattice quantum magnets and experimental verification of the field-induced quantum phase
Project/Area Number |
19K03711
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗田 伸之 東京工業大学, 理学院, 助教 (80566737)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 量子スピン液体 / キタエフ模型 / 磁場誘起量子相 / 純良単結晶育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
有効スピン1/2を持つ蜂の巣格子量子磁性体α-RuCl3はキタエフ型の量子スピン液体を実現する有力な候補物質である。本研究の目的は、α-RuCl3においてマヨラナ粒子の実験的証拠となる熱ホール伝導度の半整数量子化が観測された磁場誘起量子相近傍での臨界現象を明らかにすることである。これまでの研究からこのマヨラナ粒子の挙動を観測するには積層欠陥等を最小限に抑えた結晶性の良い試料が必要不可欠であることが分かっている。従って純良な単結晶試料の育成方法を確立することも重要な課題となる。 本年度は、α-RuCl3に関する共同研究の成果が3つの学術雑誌(①Nat. Commun.、②Sci. Adv.、③Phys. Rev. X)に掲載された。①では、蜂の巣格子に垂直な磁場方向に対する102 Tまでの強磁場磁化過程及びその磁場角度依存性を明らかにした。実験結果は理論計算により定量的レベルで再現され、35 Tと83 Tに量子相転移があり中間相が量子スピン液体相になっていることが明らかになった。②では、蜂の巣格子面内で磁場を変化させ比熱測定と熱ホール伝導度測定を行うことで、バルクギャップとエッジモードの符号変化の対応関係を明らかにした。これによりマヨラナフェルミオン励起のトポロジカルな性質のバルク・エッジ対応が示された。③では、高エネルギーの電子線照射により欠陥を導入したα-RuCl3単結晶の精密比熱測定を行い、欠陥がキタエフ液体におけるマヨラナ粒子の弱局在状態を誘発していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はα-RuCl3の研究成果がNature Communications、Physical Review X、及びScience Advancesにそれぞれ1報ずつ掲載された。一方、α-RuCl3の純良単結晶育成に遅れが生じているため進捗状況は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
α-RuCl3の単結晶育成について、ブリッジマン法にて得られたフィルム状の純良単結晶の小片を可能な限り多く収集し再結晶化させる方法を継続する。昨年度までに得られた測定結果を精査し、論文執筆を含む成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、多くの学会・研究会にオンラインで参加できるようになった。そのため当初想定していたよりも旅費の使用額が少なくなった。未使用分は次年度の学会・研究会等の旅費や論文の英文校閲費用に使用する。
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Research Products
(10 results)