2019 Fiscal Year Research-status Report
High-pressure study in the electronic states of the ferromagnetic cerium compound with a new crystal structure
Project/Area Number |
19K03714
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中島 美帆 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (80362614)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セリウム化合物 / 単結晶育成 / フラックス法 / 高圧磁化測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまでにCePd2Al8を得たフラックス法(自己フラックス法)にて、CeT2X8 (T: 遷移金属, X: Ga, In, Sn, Sbなど)の多数の結晶育成を試みたが、128の組成は得られなかった。また、CePd2Al8の育成ではCeとAlの2元系物質であるCe3Al11が得られることも多かった。その中で、Ce2CuGe6, Ce2PdGe6 の単結晶が得られたが、この中にはこれまで単結晶についての報告がなされていない物質もあり、関連物質としてこれらの精密な磁化過程および磁化率の温度変化測定を詳細に行った。この216系は斜方晶構造で磁気異方性が強く困難軸の磁化においては3段のメタ磁性が起こる興味深い物質であり、単結晶として初めての結果も得られたので、JPS Conference Proceeding 30, 011111 (2020)に発表した。このようにシリーズの参照物質CeT2X8は育成に成功すれば新規物質となるため、結晶構造の決定が難しいという問題もあり難航してる。ただし、CePd2Al8については、自己フラックス法による育成の条件がおおよそ固まってきた。圧力下磁化測定についてはシリンダー型圧力セルによる磁化測定を行い、磁気転移温度の圧力変化を詳細に追うことができた。CePd2Al8は、10Kで反強磁性転移をしたのち、さらに低温の8.8Kで強磁性転移をする物質であり、その点において珍しいセリウム化合物であると言えるが、上述のCe3Al11は,6.3Kで強磁性転移した後、3.2Kで反強磁性転移する物質であるため、ともに圧力下磁化測定を行い、圧力決定方法やバックグラウンド処理方法の確立においての一助となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究費によって、フラックス法による単結晶育成の環境が整った。また、多くのシリーズ物質の育成を試みることができ、今後の条件出しのデータは揃ったと言える。また、高圧磁化測定の手法とデータ解析方も経験を積むことによって確立し、測定技術は向上した。
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Strategy for Future Research Activity |
新規化合物の育成は困難が多いが、おおよそ方法は確立されたので、さらにCePd2Al8の純良性をあげること、さらに新規のシリーズ物質CeT2X8の育成成功を目標にサンプル作製を進めていきたい。また、フラックス法は育成された物質の同定(組成と構造決定)に時間がかかることもあり、単結晶の構造決定の知見も深めつつ、圧力磁化測定を中心とした磁性研究を深めていく。
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Causes of Carryover |
ほぼ使用計画通りで、少額の端数金額といえるが、次年度使用額は令和2年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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