2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of first-principles structure search method applicable to large-scale systems and its application
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19K03717
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下司 雅章 大阪大学, エマージングサイエンスデザインR3センター, 特任准教授(常勤) (70397660)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結晶構造探索 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、第一原理計算に基づいた構造探索法を大規模系に適用できるように、高効率にしかも漏れなく最安定構造を探索することを目指した。ランダムに初期構造を生成して1回のSCF計算で得られたエンタルピーの低い構造のいくつかを選択し、それらだけを構造最適化する方法に、結晶構造を決める空間群を網羅する方法を組み合わせて、実質的に漏れなく探索する方法を開発し、比較的小規模な計算資源で実施可能な方法を確立した。 この方法を、これまでTe、S、Se、Snなどの新しい高圧相の探索に適用したが、最終年度はP、As、Sbなどに適用した。Sbは29GPaでbccになると、どんなに高圧にしても別の構造が実験的にも理論計算からも見つかっていなかった。Asも97GPaでbccになっていから同様に次の高圧相の構造が見つかっていなかった。これに構造探索法を適用したが、Sbは2TPa付近まで調べてもbccのままであり、Asは2.2TPa付近でhcpに転移することを発見した。Pは220-260GPaの間のみbccが安定で、理論計算の先行研究とも一致していた。実験では確認できないくらい不安定である。ここで、同じ価電子を持つ元素なのにbccの安定性にこんなにも違いがあることには説明が必要であると考え、電子状態の解析を行った。その結果、AsとSbではほぼ完全なp状態のみで結合-反結合状態が実現しているためで、内殻に3dあるいは4dがあるため4dあるいは5d状態がフェルミレベル近傍に現れない電子構造だからであることが分かった。これに対し、Pは内殻にd状態がないためフェルミレベル近傍にd状態が現れ、p状態のみでの完全な結合-反結合状態が実現しないため、bccが安定な圧力領域がほとんどないことを説明できた。この電子状態の説明は、他のグループでのbccの安定性の議論にも適用できる。
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Research Products
(3 results)