2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of transport phenomena in topological materials using real-time evolution of quantum systems
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19K03739
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三澤 貴宏 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員(研究院准教授) (10582687)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / トポロジカルディラック半金属 / スピン流 / スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的はトポロジカル物質の特異な表面状態を利用した新奇輸送現象の解析を量子系の実時間発展を用いて明らかにすることである。開発をおこなった量子系の実時間発展のコードを用いて、強磁性体と接合したトポロジカルディラック半金属の実時間発展を記述する時間依存シュレディンガー方程式を数値的に解くことで、トポロジカルディラック半金属において生じる電流・スピン流の解析を行った。その結果、強磁性体で発生する振動磁場によって半量子化された電流及びスピン流がトポロジカルディラック半金属に誘起されることを示した。化学ポテンシャルに乱れを導入したシミュレーションを行い、この電流・スピン流は乱れに非常に強いことをしめした。また、スピン流伝搬の解析を行い、スピン流はほぼ減衰することなく長距離を伝搬できることも示した。さらに、このスピン流が反対側の強磁性体のスピンに対して、どのように影響を及ぼすかも、ランダウ-リフシッツ-ギルバート方程式と時間依存シュレディンガー方程式を連立して解くことで解析した。その結果、半量子化したスピン流の伝搬によって、半量子化されたトルクが生じることを明らかにした。 従来、スピントロニクスの研究ではスピン流の生成源として金属や磁性絶縁体を用いることが多いが、これらの物質では乱れの効果や格子振動によるスピン流の減衰が大きいことが知られており、スピン流を用いた効率的な集積デバイスを作るうえでの障害となっていた。本研究成果は、トポロジカルディラック半金属を用いることで、このスピン流の減衰の問題を解決できることを示しており、トポロジカルディラック半金属を用いた革新的なスピントロニクスデバイス開発の可能性を切り拓いたといえる。
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Research Products
(5 results)