2021 Fiscal Year Annual Research Report
Single domain crystal growth and pulsed high magnetic field measurements in CaBaCo4O7
Project/Area Number |
19K03745
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤木 暢 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 助手 (60610904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マルチフェロイック / 強磁場 / 電子スピン共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
強フラストレート磁性体CaBaCo4O7のマルチフェロイック特性の理解を目的とし、「モノドメイン試料合成」と「強磁場電子スピン共鳴測定」を軸に研究を進めた。CaBaCo4O7の測定については、モノドメイン結晶作成がまだ途中であること、また、パルス強磁場電子スピン共鳴測定に使用している磁場発生用コンデンサーバンク及びそのスイッチ回路の不調が続き、十分な成果は得られていない。一方で、Pb(TiO)Cu4(PO4)4やSr2CoSi2O7における電子スピン共鳴では、大きな進展があった。本年度は強磁場電子スピン共鳴測定の高度化をさらに進め、電場印加強磁場電子スピン共鳴測定の開発から、テラヘルツ電磁波の非相反線二色性の観測に成功した。本成果は、線形電気磁気効果を示すマルチフェロイック物質Pb(TiO)Cu4(PO4)4において、可視光領域で報告されていた非相反線二色性をテラヘルツ領域の磁気吸収においても観測できたというものである。マルチフェロイック物質では、磁気励起が電磁波の振動磁場成分だけでなく、振動電場成分によっても励起されるため、この干渉効果によって非相反現象が現れることがある。磁気励起の起こるテラヘルツ領域の実験では、吸収強度比較が簡単ではないため、効果の小さい非相反現象の観測は困難でした。本研究では、通常の電子スピン共鳴測定に加え、0.15ヘルツの交流電場を外部から印加するという独自の測定法を用いることで、非常に小さな効果であった非相反線二色性を観測することができた。この方法を利用すれば小さな非相反現象も確実に観測することができる。今後、CaBaCo4O7を含め、他のマルチフェロイック物質への利用が期待できる。また、前年度までに測定されていた「Sr2CoSi2O7における特異な磁気励起」についても、理論研究家との共同研究からその詳細を理解できるようになってきているなど研究は進展している。
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