2021 Fiscal Year Research-status Report
Observation of Andreev bound states in high-Tc cuprates by photoemission microscopy
Project/Area Number |
19K03749
|
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
岩澤 英明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 主幹研究員 (90514068)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 角度分解光電子分光 / 銅酸化物高温超伝導体 / アンドレーエフ束縛状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
銅酸化物高温超伝導体はd波の超伝導対称性を有するため、(110)界面に分散を持たないゼロエネルギー・アンドレーエフ束縛状態の存在することが理論的に予測されている。実験的にも、アンドレーエフ束縛状態の存在はトンネル分光により広く実証されてきた。しかしながら、原理的に直接観測出来るはずの角度分解光電子分光(ARPES)を用いたアンドレーエフ束縛状態の報告例は存在しない。このことは、ARPES実験に必要な平坦な試料表面の作成が、銅酸化物高温超伝導体の(110)面では困難であったことに起因すると推測される。本研究は「試料の微細加工」・「試料のへき開・破砕の工夫」・「顕微ARPES」を組み合わせることで「非容易へき開面でのARPES手法」を確立し、銅酸化物高温超伝導体の(110)面に現れるアンドレーエフ束縛状態を直接的に観測することを目的としている。 これまでの研究から、非容易へき開面である(100)/(110)面でのARPES測定の方法・手順を確立することが出来た。一方で、超伝導ギャップ内に現れると予測されるアンドレーエフ束縛状態を観測するためには、高分解能での測定が必要である。また、アンドレーエフ束縛状態が波数依存しないフラットバンドを形成するかどうかを検証するためには、波数依存性の測定を行う必要がある。これらの測定は長時間を必要とすることから、実験時間の有効活用ならびに測定の高効率化が必須であった。本年度は、これまでのデータ・結果を踏まえて、機械学習を用いた顕微データ解析手法の開発を行い、顕微ARPES計測の効率化・高速化に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、これまでのデータ・結果を踏まえて、機械学習を用いた顕微データ解析手法の開発として、教師なし学習であるクラスタリングを用いた顕微ARPESデータ解析を推進した。クラスタリングにより、事前知識や事前解析なしに、顕微ARPESデータを特徴量で分類し、さらには、それらの空間分布を明らかにする手法を開発し、顕微ARPES計測の効率化・高速化に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果である非容易へき開面である(100)/(110)面でのARPES測定結果の成果を発表する。一方で、アンドレーエフ束縛状態の波数依存性に関しては検証が足りないため、アンドレーエフ束縛状態の波数依存性を精密に検証する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、研究計画の見直し・延長の必要が生じたため。
|
Research Products
(12 results)