2020 Fiscal Year Research-status Report
Bio-inspired quasi-periodic materials: their functionalization and physical property control
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19K03766
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40312392)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 天然周期構造 / パターン形成 / 自己組織化 / 機能構造 / 力学的最適化 / タケ / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、擬周期構造を示す典型例のひとつであるタケの機能構造に焦点をあてた。日本に自生するタケの種類は、高さ15 m に及ぶモウソウチクから、3 m 程度までしか伸びないクロチクまで多様性に富んでおり、その高さと外形は種によってバラバラである。しかしタケの稈に沿って擬周期的に配列された「節」は、タケの稈全体の剛性を高めることで知られる。さらに内部に埋没した繊維(維管束鞘)の傾斜配置によって、剛性分布が最適化されている。本研究ではこのタケの力学的最適構造の理解をさらに深めるべく、断面形状の多様性と稈の力学的安定性との間の相関関係を精査した。特に、丸みを帯びた四角形の断面を示すことで知られるシホウチクは、四国・高知県の名産品として知られている。この四角形断面は、通常の円形断面を示すタケに比べて、某かの力学的優位性をもつだろうか?この問題を解くため、丸みを帯びた四角形の断面形状を数学的に記述する手法を独自に考案し、各種の断面性能(断面二次半径、断面係数など)を定量評価した。その結果、内側境界線の角張り度合いと、外側境界線の丸み度合いが、各々異なる様式で断面性能に寄与することがわかった。 さらに、タケとおなじく中空・擬周期構造を示す「イネ」について、その断面形状と倒伏耐性との関係性を理論と実験の両面から調べた。具体的には、横風や自重によるタケ稈のたわみを評価するための簡易式を新たに導出した。この手法は、タケに作用する力のつり合い方程式を、簡易な多項式展開で表現したものであり、有限要素法などの複雑なコンピュータ計算を使わずにイネ稈の変形を推算することができる。さらに同手法をイネに適用した結果、稲穂の重みで徐々にたわむイネ稈の形状解析に対しても有効であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、横風や自重によるタケ稈のたわみを評価するための簡易式を新たに導出した。この手法は、タケに作用する力のつり合い方程式を、簡易な多項式展開で表現したものであり、有限要素法などの複雑なコンピュータ計算を使わずにタケ稈の変形を推算することができる。さらに同手法をイネに適用した結果、稲穂の重みで徐々にたわむイネ稈の形状解析に対しても有効であることがわかった。 さらに本年度は、シホウチクの断面性能解析を行った。丸みを帯びた四角形の断面を示すことで知られるシホウチクは、四国・高知県の名産品として知られている。この四角形断面は、通常の円形断面を示すタケに比べて、某かの力学的優位性をもつだろうか?この問題を解くため、丸みを帯びた四角形の断面形状を数学的に記述する手法を独自に考案し、各種の断面性能(断面二次半径、断面係数など)を定量評価した。その結果、内側境界線の角張り度合いと、外側境界線の丸み度合いが、各々異なる様式で断面性能に寄与することがわかった。さらに四国地方に自生するシホウチクを伐採し、その乾燥重量と形態(全長・稈径)を詳細に測定することで、シホウチクの稈形を記述するアロメトリー式を新たに導出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、イネの力学的安定性を理論と実験の両面から多面的に解析し、倒伏耐性の強いイネ品種を作るための形態学的指針を提示することを目指す。イネはタケと同様に中空の稈をもち、複数の節間が連結した構造を示す。近年の品種改良技術の進展により、各節間の太さ・長さ・硬さを、遺伝子レベルで操作することが一定程度可能となってきた。よって各節間の形態を人工的に制御することで、横風や強雨に晒されても倒伏しない、強いイネを創り出すことが望まれている。そこで今後の研究では、今年度までに構築した中空円筒構造の座屈近似理論をさらに拡張・改良し、さまざまなイネ品種の形態パラメータを代入することで、各品種のイネ形態の時系列変化を定量的に再現する。さらに簡単な風防実験を実施し、横風を受けたイネの傾斜角度とイネ各部の稈径・イネ全体の稈長との関係を系統的に調べ、多変量解析に基づきイネの倒伏耐性を決定づける物理要因を特定する。さらにフォーステスターを用いて、各品種ごとのイネ各部のヤング率と破断強度を計測し、一連の結果をデータベース化する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染の拡大に伴い、予定していた国際会議での成果発表を中止せざるを得なかった。また、タケ稈測定のための竹林実地調査や、イネ稈測定のための外部研究機関への訪問もあきらめた。これらの旅費予定分は、次年度以降にほぼ同じ用途で使用する予定である。さらに、上述の測定データを解析するための数値解析用機器の購入も見送ったため、物品費やその他の経費に余剰がでた。これらの余剰経費についても、次年度以降に当初予定と同じ用途で使用する予定である。
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Research Products
(8 results)