2021 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー地形および非平衡相転移描像を用いた,固体の力学応答に関する統一的理解
Project/Area Number |
19K03767
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川崎 猛史 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (10760978)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 破壊 / 塑性変形 / 分子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主に非熱的粒子系における固体・液体転移として知られるジャミング転移点近傍にあるアモルファス固体の力学応答について調べた.具体的には(1)塑性変形や破壊の統計則と(2)緩和挙動(周波数応答)についてである.以下それぞれに関する実施概要である. (1)ジャミング近傍にあるアモルファス固体に変形を加えると,変形の小さい領域から,フックの法則を満たす弾性領域,フックの法則から外れソフト化したソフト領域,粒子構造が壊れる塑性領域がある.従来研究では弾性と塑性領域の知見は報告されているがソフト領域に関しては皆無に近い.本研究では,まず塑性領域では,地震現象などと同様に塑性変形イベントの度数分布に対して特徴的なべき分布が観測されることをジャミング転移点近傍で確認した.これに対して,ソフト領域でもこの様なイベントの分布を調べたところ,べき則から大きくはずれた非自明な分布になることを発見した.この振る舞いはジャミング転移点近傍においてみられる特徴的なエネルギー地形がもたらす結果であると考えられ,今後さらなる研究の進展が期待される. (2)固体に変形を加えた際の緩和挙動や周期変形を加えた際の周波数応答は,物性を測る上で重要な指標である.特にジャミング転移点近傍におけるアモルファス固体におけるこれらの振る舞いは明らかとなっていない.本研究では,剪断歪みの大きさを系統的に変化させた際の,緩和挙動および周波数応答を調べたところ,特に歪みの小さい領域(主に弾性領域)において平均場理論(有効媒質理論)からの顕著なずれが観測されることを明らかにした.その要因については現在解明を急いでいることろであり,今後明らかにする予定である. (補足)またこれらの成果以外にも,粒子形状に異方性を導入した分子系における秩序化やアクティブマター系の揺らぎに関して本課題と関連した成果が出ている.
|
Research Products
(15 results)