2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of broadband high power millimeter wave fast switching device using natural vibrations
Project/Area Number |
19K03789
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
三枝 幹雄 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10292476)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 電子サイクロトロン電流駆動 / 大電力ミリ波 / ミリ波帯高速スイッチ / 積層圧電アクチュエータ / 小型振動発生器 / 固有振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
トカマクプラズマでは、圧力駆動型の新古典ティアリングモード(NTM)の磁気島発生が、炉心プラズマのエネルギー閉じ込め性能を劣化させることが知られている。このNTMの安定化には、電子サイクロトロン電流駆動を用いたO点(磁気島の中心)への局所的電流駆動が有効であり、プラズマの回転に応じて電磁ビームの軌道を高速で切り替えるスイッチング技術の開発が必要となる。従来のNTM安定化実験では、大電力ミリ波源であるジャイロトロンの高圧電源のOn/Off制御により、O点への電流駆動を実現してきた。また、ドイツのシュツッツガルト大学のKasparek達は、周波数変調を用いた大電力ミリ波帯高速スイッチを開発し、マックスプランク研究所の中型トカマクASDEX-UにてNTMの安定化に成功した。しかし、大電力ジャイロトロンの高効率運転には、発振モード以外のモードが励起されるモード競合を避けるため、高圧電源のOn/Off制御や周波数変調は適さない。本研究では、周波数変調の必要ない大電力ミリ波帯高速スイッチの開発を目指した。 本研究で開発中のミリ波帯高速スイッチの原理は、リング状コルゲート導波管のマイターベンド部の反射板を高速振動させることでリング共振器の周長を変え、共振周波数を変化させて出力を高速に切り替える。2019年度は、コルゲート導波管で構成される三角型リング共振器に、電力反射率が約0.9の0.98 mm厚のC面カットサファイアハーフミラーを設置し、高速スイッチの切り替え特性を測定した。しかし固定方法の不備によりハーフミラーが約0.4°傾いたため、Q値が下がり良好な切り替え特性が得られなかった。そこで2020年度は、ハーフミラーの固定方法を見直し、Q値向上を確認すると同時に、小型振動発生器を用いた300 Hzまでの切替及び、積層圧電アクチュエータを用いた1.35 kHzまでの切替を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発を行うミリ波帯高速スイッチの原理は、リング状コルゲート導波管のマイターベンド部の反射板を高速振動させることで、リング共振器の共振周波数を変化させて出力を高速に切り替える。2019年度は、電力反射率を0.9付近まで向上させた0.98 mm厚のC面カットサファイアハーフミラーを用いて、高速スイッチのQ値の向上及び切り替え特性の改善を試みたが、ハーフミラーが最大0.4°傾いていたため、特性改善が確認できなかった。2020年度はハーフミラーの固定方法を見直し、周波数特性によるQ値向上の確認、小型振動発生器を用いた300 Hzまでの切替特性及び積層圧電アクチュエータを用いた1.35 kHz帯までの切替を確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度の大電力試験を目指し、振動反射鏡の冷却設計および改造アクチュエータの固定方法改善を行う。また、振動周波数の新古典ティアリングモード(ITERでは3-5 kHz)付近までの向上を目指して、積層圧電アクチュエータの選定見直しを行い、単体で強力なものを使うか、現在のアクチュエータの個数を増やすかの検討を行う。そのアクチュエータの状況に応じて、駆動電源の増強も検討する。
|
Causes of Carryover |
Covid-19によるパンデミックで海外渡航が禁止され、当初参加を予定していた2020年9月20-26日開催の国際会議(Dubronik)に参加できなくなり、渡航費用、参加費用など(321,918円)が使用できなくなった。 2021年度には、冷却構造を有する大電力用固有振動反射板を設計製作する予定であり、振動周波数の向上を目指して購入予定の積層圧電アクチュエータ等の購入に用いる予定である。
|