2019 Fiscal Year Research-status Report
Understanding and control of plasma detachment caused by composite gas seeding
Project/Area Number |
19K03790
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江角 直道 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20321432)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非接触プラズマ / プラズマ-ガス相互作用 / 原子分子過程 / 分子活性化再結合 / ダイバータ / 窒素 / 水素 / ターゲット形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状磁場閉じ込め型核融合プラズマ実験装置において、熱と粒子の制御を担うダイバータ板への熱・粒子束負荷を低減するために、プラズマとガスとの相互作用により形成される非接触プラズマの挙動の理解とその制御方法の確立は重要な課題である。本研究は、水素と不純物ガス(特に窒素)との重畳効果に焦点をあて、複合ガス入射に伴う物理化学的な現象と反応過程、非接触プラズマ形成とその空間構造に与える影響を明らかにすることを目的としている。 本年度はタンデムミラー装置GAMMA10/PDXの開放端部に設置したダイバータ模擬実験モジュール(D-module)において、水素-窒素ガスの重畳入射による非接触プラズマ形成実験を行い、それそれのガス圧とその分圧比の変化に対してD-module内に形成される非接触プラズマの空間分布とその時間発展の詳細を調べた。 D-moduleプラズマ流入部の複合静電プローブ及び V字ターゲット板に設置された静電プローブアレイ、干渉フィルタ付き高速度カメラ、多点同時分光計測システム等を用いて、水素と窒素の重畳入射によって極めて顕著なプラズマ密度、イオン粒子束が低下する際の時間発展の詳細な観測結果を得た。現在、水素と窒素の強い相乗効果をもたらす原子・分子過程として、水素分子および窒素分子が介在する再結合過程の寄与に注目し、窒化水素NH、水素バルマーα、βの発光スペクトルや分子線スペクトルの時間および空間変化から詳細な反応過程の考察を進めている。また、V字ターゲット板角度の影響についても初期的な実験を行い、小角度の場合において電子温度、電子密度の低下が観測され、ターゲット板でのリサイクリング水素が重要な働きをしている可能性を示唆する結果を得た。今後、DIII-Dトカマク装置やシミュレーションとの比較も進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた放射パワー計測については機器不具合があったため、データは取得には至らなかったが、それ以外については、計画していた実験をほぼ予定通り実施することができた。また、次年度行う予定であった、ターゲット板角度の変化に対する非接触プラズマ形成への影響に関して初期的な実験を行うことができた。DIII-Dトカマク装置の研究者とも議論する機会が得られ、今後の共同研究の土台を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
水素、窒素分子の挙動が非接触プラズマ形成に影響を及ぼしていることを示唆する実験結果が得られていることから、分子の振動、回転温度の影響にも留意しながら衝突輻射モデルによる水素-窒素混合状態における反応過程について解析を行う。また、実験では、シミュレーションとの比較を念頭に、ターゲット板以外に流れ込むプラズマの影響を抑制するため、D-moduleプラズマ流入部にリミタ板を設置するとともに、ガス入射位置の違いの影響についても詳細に調べる。DIII-Dトカマク装置やEMC3-EIRENEシミュレーション等との比較も進める。
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Causes of Carryover |
交付経費では、当初予定していた赤外線カメラの導入は行えなかったが、フレームレート、画素数は劣るものの、赤外線感度はほぼ同等の赤外線カメラを研究協力者から借用し、計画を遂行した。データ解釈の際にフレームレートの遅さを補完するため、当初の赤外線カメラより安価な小型分光器およびその光学系を導入したため、次年度使用額が生じた。次年度はD-moduleプラズマ流入部に静電プローブ、分光ファイバーポート付きの可動式リミタ板を作製・設置する予定である。次年度使用額は、主にこれらの効率的設計を行うためのCADソフトウェアの導入に使用する予定である。
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[Presentation] Plasma detachment caused by composite gas seeding in front of variable angle V-shaped target of GAMMA 10/PDX2019
Author(s)
N. Ezumi, H. Gamo, T. Sugiyama, Y. Takami, T. Iijima, K. Nojiri, A. Terakado, T. Hara, Y. Ando, M. Sakamoto, M. Hirata, J. Kohagura, M. Yoshikawa, Y. Nakashima, R. Perillo, T. Kuwabara, H. Tanaka, N. Ohno, K. Sawada, A. Tonegawa and S. Masuzaki
Organizer
7th International Workshop on Plasma Material Interaction Facilities for Fusion (PMIF 2019)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Plasma detachment in divertor simulation experimental module of GAMMA 10/PDX: role of molecule gases2019
Author(s)
N. Ezumi, R. Perillo, T. Iijima, K. Nojiri, A. Terakado, M. Sakamoto, Y. Nakashima, M. Hirata, J. Kohagura, M. Yoshikawa, T. Hara, Y. Ando, H. Gamo, T. Sugiyama, Y. Takami, K. Honma, A. Kondo, T. Kuwabara, H. Tanaka, N. Ohno, K. Sawada, S. Kado, A. Tonegawa and S. Masuzaki
Organizer
The 28th International Toki Conference on Plasma and Fusion Research (ITC28)
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] GAMMA 10/PDX における窒素-水素複合入射による非接触プラズマ形成への V字ターゲット角度の影響2019
Author(s)
江角直道, 飯島貴朗, 野尻訓平, 寺門明紘, 原利樹, 安藤泰斗, 杉山吏作, 蒲生宙樹, 髙見耀平, 本間佳史, 近藤綾音, 坂本瑞樹, 平田真史, 小波蔵純子, 吉川正志, 中嶋洋輔, R. Perillo, 桑原竜弥, 田中宏彦, 大野哲靖, 澤田圭司, 利根川昭, 増崎貴
Organizer
第36回プラズマ・核融合学会年会
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