2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a numerical method for analyzing radio-frequency sheaths in arbitrarily oriented magnetic fields
Project/Area Number |
19K03793
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 晴彦 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (70710846)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シース / 高周波加熱 / 磁場核融合 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
シースの形成を理解するために、昨年度の研究で構築した、1次元領域に適用されるマイクロスケールの方程式を解くための有限要素スキームを、2次元領域に適用しうるスキームに拡張することに成功した。具体的には、静電ポテンシャルについてのPoisson方程式、イオンの連続の式、イオンの運動量方程式に含まれる各種物理量を4節点四角形要素内で双1次形状関数を用いて補間し、時間に関する離散化ではCrank-Nicolson法を適用した。電子密度は磁力線に沿ってMaxwell-Boltzmannの関係式を適用することにより求められる。ポイントは、シースから最も遠く離れた中心線に沿って生じる静電ポテンシャルの空間的な分布を、磁力線と壁面に囲まれた複数の要素に電荷の保存則を表す式を適用することにより求めることである。 最初に、非常に粗い計算格子を用いて、構築したスキームが妥当な計算結果を与えることをノートパソコンで確かめた。その後、疎行列計算ライブラリMUMPSを取り入れた計算が米国エネルギー研究科学計算センター(NERSC)のCoriを使用してできるようにプログラムを並列化し、ノートパソコンを用いて行った計算と同じ条件において、その計算コードにより得られた結果がノートパソコンで得られた結果と一致することを確認した。隆起した壁面に沿ってシースが形成される場合は、シースの幅が壁面に沿って顕著に変化し、壁面に向かうイオンの速度の向きは壁面に対してほぼ垂直になることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、昨年度の目標として掲げた2次元領域での計算を可能とするコードを完成させた。この計算コードは、粒子源を通過しない磁力線が含まれる"shadowed regions"が生じる場合にも適用しうるものではないが、ある条件下では、研究課題名にあるとおり、磁力線と壁面がなす任意の角度に適用することができる。これまでの試行で、正しい計算結果を得るために必要な格子解像度や計算領域の幅、そして、非物理的な格子スケールの振動を抑えるための方法を見つけることができたので、最終年度では1次元領域のモデルでは予測できなかった物理現象を解明するための計算に注力する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で示された1次元領域に対応する解の妥当性は、シースの幅とシースに沿う変化の代表長さが同じ程度になると損なわれる可能性がある。それを確かめるために、解析領域の両端になめらかな隆起を設け、隆起の幅を固定した状態で隆起の高さを変化させながらシースに沿う各種物理量の調査を行う。それに加えて、シース領域全体の物理量の分布が隆起の存在によりどのように変化するのかを確かめるために、電子密度をカラーコンター、静電ポテンシャルを等高線、イオンの速度を矢印で表した図を作成する。この図の描画にはmatplotlibを用いる。隆起の高さの増加とともに磁力線と壁面がなす角度の最小値は減少していくが、"shadowed regions"が生じない範囲で磁力線の角度を変化させることにより、磁力線が壁面に対してほぼ接するような条件で計算を行うことも可能である。それぞれの計算条件においてシース全体で評価されるアドミタンスを求め、それを隆起が存在しない場合(すなわち1次元モデル)に得られる値と比較することで、隆起の高さや磁力線の角度の変化がアドミタンスに与える影響を明らかにすることも重要である。
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Causes of Carryover |
(理由)令和2年度も、昨年度に引き続きモデルの構築やコードの作成が中心であったため、紙と鉛筆とノートパソコンがあれば十分であった。それでも、ノートパソコンの買い替え等で令和2年度の計画額とほぼ同じ金額を使用させていただいたが、前年度の未使用額は手付かずのままとなった。
(使用計画)本研究で使用する計算コードは多くのメモリを必要とせず、1ノード7コアがあれば今のところ十分である。そのため、(待ち時間が長い)NERSCのCoriを使用せずにこの計算を行うことができるワークステーションの購入を検討している。
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Research Products
(1 results)