2020 Fiscal Year Research-status Report
次世代直流高電圧送電を可能とする新しい高性能ガス絶縁媒体の開発
Project/Area Number |
19K03806
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 孝紀 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (50235339)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HFO1234ze / 解離 / フラグメント / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
HFO-1234ze(E)の放電分解特性を明らかにすることを目的とし,HFO-1234ze(E) - Ar混合ガス中で大気圧パルス放電を発生させ,分解生成物をガスクロマトグラフ-質量分析計で測定し、それをもとに特定した。また、分解生成物の一部は電極等に堆積するので,その組成についても調査した。 パルス放電を60分発生させた後のガスをサンプリングして分析した結果、HFO-1234ze(E)の分解生成物として,C2F6,C2HF,C2H2,C2F4,C2H2F2,C2HF3,C2HF5,C3HF3およびC3HF5が生成されることが分かった。各分解生成物の濃度は,注入エネルギーの増加とともに一旦増加した後で減少する傾向を示しており,中間生成物であると考えられる。 Siウェハに堆積した生成物の透過スペクトルを赤外吸光光度計を用いて測定した結果、HFO-1234ze(E)の分解において,1400~1000 cm-1に吸収が確認され、C-F結合をもつ物質が堆積していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究により、放電分解生成物については詳しく特定できたが、分解生成物の生成に必要な電子エネルギー、すなわち、しきい値の測定まで進めることができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
電子スオーム法による電子衝突断面積セットの導出に不可欠なしきい値データを測定により得る。これをもとに部分断面積の推定を行う。 HFO-1234ze(E)は電気負性ガス(電子付着が多い)であり、電子付着衝突による追跡電子数の急減にともなう統計変動の増大により、計算精度の保証が難しいことが予想される。そのため、Monte Carlo simulation と同等の精度でシミュレーションが可能なPropagator法の導入する。そのため、Propagator法による電気負性ガスのシミュレーション法を確立させ、電子スオーム法による電子衝突断面積セットの導出の準備を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大防止のため、予定されていた国際学会が延期になったとともに、国内学会もオンライン開催となり旅費の支出がほとんどなかったため。
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