2023 Fiscal Year Annual Research Report
次世代直流高電圧送電を可能とする新しい高性能ガス絶縁媒体の開発
Project/Area Number |
19K03806
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 孝紀 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (50235339)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 気体絶縁 / SF6代替探索 / 電子輸送係数 / 解離断面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
SF6ガスの代替物質を探索するため、絶縁ガスの電子輸送係数やフラグメントの測定を行った。またそれに基づく電子衝突断面積の推定に関する取り組みを行った。成果を以下に示す。 ・HFO-1234ze(E)の放電分解特性を明らかにするため,HFO-1234ze(E) - Ar混合ガス中で大気圧パルス放電を発生させ,分解生成物をガスクロマトグラフ-質量分析計で測定し、C2F6,C2HF,C2H2,C2F4,C2H2F2,C2HF3,C2HF5,C3HF3およびC3HF5が生成されることを示した。 ・SF6代替となる絶縁ガス中では電子伝導が低くので低電流となり、二重シャッタードリフトチューブ(Double Shutter Drift Tube : DSDT)による電子輸送係数の高精度測定では、振動容量型エレクトロメータの反応時間、すなわちコンデンサ充電時間の適切な考慮が必要である。ここでは、コンデンサの充電時間の適切な考慮は電離係数と電子移動速度にはほぼ影響しないが、拡散係数に大きな影響があることを明らかにし、高精度測定の条件を示した。 ・電子衝突を用いた解離断面積測定では,イオン電流値がしきい値付近から曲線的に増加し始め,その後,衝突する電子のエネルギーに対して直線的に増加する形状となるが、これはフィラメントから放出される熱電子群のエネルギー分布によるものと報告されてきた。しかし、正確なシミュレーションを行った結果、電子と気体分子間の衝突確率分布が衝突位置に反映され、これが衝突時の電子エネルギーが分布を持つ原因であることを明らかにした。また、これに基づき、解離衝突のしきい値をより適切に決定する方法を提案した。
|