2023 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマモデリングの高精度化を目指した電子衝突断面積の精密定量測定
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19K03812
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
星野 正光 上智大学, 理工学部, 教授 (40392112)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電子衝突 / プラズマ素過程 / 衝突断面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
より現実に近い半導体プロセスや核融合プラズマの挙動解明のため、電子衝突断面積データを定量的に測定・評価、さらに近年利用される理論計算の妥当性も合わせて検証することでより高精度なプラズマモデリングの実現を目指してきた。本申請ではプラズマモデリングで重要な電子と気相原子・分子との1回衝突における各散乱過程の積分断面積および運動量移行断面積の定量値を得るために、標的の終状態を選別した角度微分断面積を測定した。しかしながら、実験では分光装置の幾何学的制約から測定可能な角度範囲がおおよそ20度程度から130度に限定され、それ以外の角度は外挿を用いる事になる。そのため得られた断面積データには大きな不確かさが含まれていた。そこで実験的により広角度範囲に散乱された電子を検出することを目指し、詳細に断面積の定量値を評価した。 令和2年度の新型コロナウィルス感染拡大による入構制限で当初の計画からは大幅に遅れ、令和3-4年度にかけて前方散乱した電子の検出とデータ解析の検証を詳細に検討してきた。最終年度である令和5年度はより前方、後方散乱データの外挿に関する考察・検証をさまざまな分子標的へと拡張し、当初の目的であった幅広い入射電子エネルギー範囲の弾性散乱と非弾性散乱過程に対する断面積データセットを実験的に評価し、いくつかの成果報告を行った。特にアンモニア分子をはじめとする環境分子やフッ素を含むプロセスプラズマ分子に対し、改良に伴う可能な限り前方、後方散乱した電子の検出を行い、本申請課題で新たに提案した理論計算に基づく外挿手法を加えることで信頼性の高い電子衝突積分断面積データを得ることでこれまで報告例が少ない断面積データセットの構築に成功した。本結果は、今後プラズマ関連分子のデータベースとしてまとめられ、プラズマシミュレーションに役立てられることが期待される。
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