2019 Fiscal Year Research-status Report
Numerical modelling on biochemical reactions and cell dynamics induced by cold atmospheric plasmas
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19K03813
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
村上 朝之 成蹊大学, 理工学部, 教授 (20323818)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラズマ化学 / 生体反応モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、数理モデリングを手段とし、低温大気圧プラズマによって誘起される生化学反応および細胞挙動を定量的に解明することを目的とする。特にプラズマ照射に起因した ① 活性酸素種の導入が細胞呼吸・エネルギー代謝等の生命維持機能に及ぼす影響、② 活性窒素種の導入が誘発する細胞死機能、③ 細胞内カルシウムイオン振動現象によるシグナル伝達機能を解明し、これらの単一細胞レベルの知見を踏まえ ④ 群体レベルとして現れる細胞挙動を明らかする。低温大気圧プラズマの生体医療応用研究が進展しつつある一方、プラズマが誘起する生理学的プロセスの体系的知見は未だ得られていないことから、これを解明する本研究の推進は極めて重要な意義を持つといえる。 令和元年度は、活性種が細胞呼吸・エネルギー代謝機能に及ぼす影響の解明を目的とし、細胞内活性酸素(ROS)の恒常性を維持する細胞呼吸機能およびATPを産出するエネルギー代謝機能のモデル化を行った。ここでは、単一細胞内におけるミトコンドリア内クエン酸回路・ROS除去機構・ATP代謝機能を実装した。本研究のオリジナリティとして外部からのプラズマ由来ROSをトリガーとした生理活性挙動を再現し、プラズマ照射の有無により細胞内で生成される過酸化水素 H2O2 生理的振動の振幅・周期が変化することを解明した。さらに、プラズマ由来の活性窒素種の影響によりエネルギー代謝機能が変化するという極めて重要な結論を得た。 その結果、原著学術論文 1編、解説論文 1編、国際会議招待講演 1件、国際会議講演 5件、国内会議講演 6件の業績を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って、然るべきモデリング研究を行っている。特に、単一細胞内の生理反応モデリングを順調に開発することができた。ここでは、極めて重要な知見が見出すことができ、原著学術論文の出版を行うことができた。今後、国際的な共同研究・国内研究者との共同研究体制を確立しつつ、さらなる原著学術論文の投稿ならびに国際会議招待講演を行うなどの効果的な成果発表を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、活性窒素種が細胞死を誘導する機構の解明を目的とする。ここでは、活性窒素(RNS、特に NO, NO2-, ONOO-) の細胞内生成・除去機構およびミトコンドリアからサイトプラズマへ放出されるシトクロムCを介したシステインプロテアーゼ(カスパーゼ 3, 7, 8, 9 系列)活性化挙動をモデル化し、プラズマ由来RNSが誘導する細胞死(アポトーシス/ネクローシス)プロセスを明らかにする数値シミュレーションを行う。
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Causes of Carryover |
理由:2020年初頭から年度末にかけてイレギュラーな社会情勢となり、研究資金執行予定の見直しを図ったため。 使用計画:計画を大幅に変更する予定はなく、理論モデルの構築・数値シミュレーションを主体とした研究を遂行する。ただし、国際研究協力および国際会議などの成果公表の方法・内容・予算執行時期等については諸事情を鑑みつつ柔軟に考える。
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Research Products
(12 results)