2020 Fiscal Year Research-status Report
格子カイラルゲージ理論を用いたゲージ対称性・フレーバー対称性実現の研究
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19K03821
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊川 芳夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20252421)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 格子カイラルゲージ理論 / フレーバー対称性 / ゲージアノマリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,特に,標準模型や統一模型におけるゲージ対称性・フレーバー 対称性の自発的破れのメカニズムを,格子カイラルゲージ理論,Banks-Casher 関係式,カイラル- ランダム行列理論,ゴールドストーン-ボソンの有効理論の手法を用いて解析する. これによりカイラルゲージ理論におけるゲージ対称性・ フレーバー対称性の実現の仕方をより深く理解し,ひいては,素粒子標準模型における SU(2)×U(1) 電弱ゲージ対称性の破れのメカニズムを解明することを目指す. 研究期間 (3年) における研究課題 (1) 格子カイラルゲージ理論の数値シミュレーション法の開発,(2) フェルミオン4体以上の秩序パラメータに対するBanks- Casher関係式の一般化およびカイラル-ランダム行列理論の拡張,(3) 格子カイラルゲージ理論におけるゲージ対称性・フレーバー対称性の自発的破れの解析のうち,(2)に関して,フェルミオン4体以上の秩序パラメータによってフレーバー対称性の自発的破れが生じる場合の低エネルギー有効模型の構成,および,カイラル-ランダム行列理論の構成について考察を進めた。 一方,摂動的なゲージアノマリー相殺条件を満たす一般的なNon-Abelian理論に対するゲージ不変な格子構成法について研究の進展があった。この成果は論文にまとめている段階である。Juan William Pedersen and Yoshio Kikukawa, in preparation.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
摂動的なゲージアノマリー相殺条件を満たす一般的なNon-Abelian理論に対するゲージ不変な格子構成法について研究の進展があり,そちらの研究遂行を優先したため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度,今年度の研究成果に基づき,課題(1)に関して,格子カイラルゲージ理論の符号問題の解析, 経路積分の複素数拡張, Lefschetz thimble 構造の解析, Lefschetz thimble 上のハイブリッド・モンテカルロ法の改良に取り組む予定である。特に,格子カイラルゲージ理論に対して,一般化Lefschetz thimble,及び,焼き戻 しLefschetz thimble法のアルゴリズムの検証・拡張・応用に取り組む。 また,課題(2)に関して,フェルミオン4体以上の秩序パラメータによってフレーバー対称性の自発的破れが生じる場合のBanks-Casher 関係式の一般化に取り組む。
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Causes of Carryover |
既存の計算機資源の利用を継続したため,物品費(計算機購入),その他(計算機使用料)の支払いが少なめになっていることが主要な理由になっている。次年度に は,物品費(計算機購入),その他(計算機使用料)の使用をすすめる計画である。
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