2021 Fiscal Year Research-status Report
Phenomenology of natural GUT with spontaneous SUSY breaking and extra dmension
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19K03823
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前川 展祐 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (40273429)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 対称性の破れ / 宇宙紐 / 非位相弦 / 重力波 / 大統一理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
大統一理論が実現する大統一スケールは、現在の加速器実験のエネルギースケールに比べてはるかに大きいので、大統一理論を加速器実験で直接検証することは近い将来では難しいと思われる。一方、ブラックホール対が融合する際に出る重力波がLIGOで検出されて以来、重力波を用いて標準模型を超える物理を探る、という研究が盛んに行われている。特に、N2020年にANOGravが報告した重力波の候補は、大統一スケール近くの対称性の破れで生じる宇宙紐由来の重力波とも解釈できるため、宇宙紐由来の重力波を用いた素粒子模型の検証の研究が重要になってきている。 宇宙紐由来の多くの研究は、トポロジー的に安定性が保証されている位相紐であるが、位相紐が生じる対称性の破れは限定されており、別の対称性の破れでも生じうる非位相紐 での研究はこれまであまりやられてこなかった。最も有名な非位相紐は、電弱紐と呼ばれ、標準模型でもパラメータによって現れ得る宇宙紐であったが、残念ながら測定された標準模型のパラメータでは生成されないことが確かめられ、あまり研究されなくなった、という経緯がある。 我々は電弱紐を超対称性を持つ系に拡張し、宇宙紐が生じる条件を計算した。その結果、パラメータの読み替えの下で、電弱紐と同じパラメータ領域で宇宙紐が生じることが確かめられた。残念ながら、SO(10)大統一理論で生じるSU(2)×U(1)⇒U(1)の対称性の破れでは宇宙紐が生じないことが判明したが、より一般的な対称性の破れでは、宇宙紐が生じる可能性はある、という意味で興味深い結果と考えている。、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙紐の研究は、当初の計画にはなかったものであるが、より、タイムリーな研究として始めたものであり、結果も得られていることから、おおむね順調であると考える。(論文も現在執筆中で近いうちに1本目の論文ができる。)ほとんど同様の計算で別の対称性の破れに応用可能であることがわかってきており、次の論文も遠くない将来に完成させられると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
同様の計算を用いれば、SU(2)×U(1)⇒U(1)での宇宙紐生成条件をSU(N)×U(1)⇒SU(N-1)×U(1)での宇宙紐の安定条件に拡張できることが予想されており、その計算を行いたいと考えている。これは、必ず遂行できそうな研究であるが、それ以外にも、新たな非位相弦の探索等、様々な方向性が考えられる。 一方で、計画にあった、超対称性を自発的に破る自然な大統一理論の研究も進めていきたい。特にE6大統一理論への拡張についての研究を行う。 また、自然な大統一理論では、ゲージ結合定数の統一が必ずしも自然ではない。より、自然な大統一理論の構築も行っていく。
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Causes of Carryover |
コロナのため、出張が著しく制限されたことが大きな理由の一つである。ただ、2022年度に私がチェアーを務める対面の第26回目の国際会議を計画しており、そこで大部分が使用されると考えている。(逆に言えば、コロナによる不使用な科研費が生じても特にあわてなかったのは、もともとこの計画があったから、とも言える。)
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Research Products
(1 results)