2021 Fiscal Year Research-status Report
"Can we observe the gravitational form factors of the pion at J-PARC?": studies based on QCD
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19K03830
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田中 和廣 順天堂大学, 医学部, 教授 (70263671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 俊三 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, シニアフェロー (10253577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重力形状因子 / QCD / J-PARC / エネルギー・運動量テンソル / GPD / 3ループ / QCD和則 / 高次ツイスト |
Outline of Annual Research Achievements |
QCDのエネルギー・運動量テンソルのハドロン行列要素は、ツイスト2, 3, 4に対応する重力形状因子に分解でき、ツイスト3と4の重力形状因子は振る舞いが未知であった。ツイスト4の重力形状因子の前方極限(ゼロ運動量移行)での繰り込みスケール依存性の定量計算については、3ループ補正まで取り入れた精密な計算を核子の場合に行った。クォーク質量とシグマ項と呼ばれる量に比例する効果からの影響(不定性)を含めた数値予言を得た。また、同様な3ループ定量計算をπ中間子の場合に拡張し数値予言を求めたところ、QCDのトレース・アノマリーに関係した漸近的値への接近はやはり緩やかだが、クォーク質量に比例する寄与が主要項を与え、核子の場合とは異なる特徴が明らかとなった。これらは、SPIN2021国際会議で発表しProceedings of Science誌上に掲載予定である。 非前方(有限運動量移行)でのπ中間子の重力形状因子の定量評価と、π中間子ビームを用いたJ-PARCプロセスの断面積の定量評価のそれぞれについて、光円錐QCD和則を用いた計算を進めた。特に後者の場合については、和則の分散公式の構成で非連結なカレント行列要素と連結なものとを含む公式を前年度に得ていたが、非連結なカレント行列要素の寄与をπ中間子の歪化関数を用いて表す公式を得た。 米国フェルミ研究所のニュートリノビームを利用した重力形状因子測定についても、米国の実験研究者と共同で検討し、NuFact2021国際会議で発表してその報告書をProceedings of Science誌上に出版した。また、スピン1のハドロンの、高次ツイストパートン分布関数を分類し、そのツイスト2部分を抽出する関係式を導いた。ツイスト2部分を抽出したあとの残りの部分を、クォーク場のQCD運動方程式を用いることによりマルチパートン分布関数で表す関係式も導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツイスト4の重力形状因子の前方極限(ゼロ運動量移行)での定量計算を予定通り、核子とπ中間子のそれぞれの場合について、現時点で実行可能な世界最高精度で完了することができた。J-PARCプロセスの断面積の計算については、計算式に当初の想定を越えた項の存在が明らかになり、その扱いについての先行研究も無かったが、分散公式の一般理論に基づき検討して、対処法に目処をつけることができた。また、米国フェルミ研究所のニュートリノビームを利用した重力形状因子の測定可能性についても、予想外の進展があった。 国外や国内の出張旅費として研究費の支出を予定していたが、コロナ禍が続き出張は実現できなかった。しかし、オンラインでの国内外の研究集会において、研究成果の発表を行うことができた。なお、支出できなかった残額を使用して、研究成果を充実させ精緻に達成するため、次年度の期間延長をすることとした。 以上を総合し、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
J-PARCプロセスの断面積の計算とその結果の検討・考察のため、歪化関数へのループ補正とこれに基づく繰り込みスケール依存性を考慮し、込み入った計算を大量に行う必要が出てきた。この計算の遂行を分担してもらうため、新たに分担者を追加した。新しい分担者には、代表者および以前からの分担者と並列進行で、パソコンによる数式処理計算および数値計算を進めてもらう。
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Causes of Carryover |
成果発表のために、国外や国内の出張旅費として支出を予定していたが、コロナ禍が続き出張は実現できなかったため、期間延長し次年度に使用することとした。次年度が最終年度となるが、現時点で次年度中の旅費の支出を見込んで使用計画を立てることは、不確定要素が大きく困難と思われる。一方で、研究成果を充実させ精緻に達成するために、込み入った計算を大量に行う必要が出てきているため、代表者および次年度に新たに追加した分担者が高性能のパソコンを購入し、必要な計算を並列して効率的に行えるようにする方針である。ただし、現地開催される研究集会への出席が可能な状況になれば、その旅費として使用することも検討する。
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Research Products
(26 results)
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[Presentation] Hadron physics from baryon structure2022
Author(s)
Shunzo Kumano
Organizer
Second International Workshop on Extension Project for the J-PARC Hadron Experimental Facility (2nd J-PARC HEF-ex WS), (Online) J-PARC, Tokai, Japan, February 18, 2022
Int'l Joint Research / Invited
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