2021 Fiscal Year Research-status Report
Feynman integral reduction for precise particle physics
Project/Area Number |
19K03831
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
植田 高寛 成蹊大学, 理工学部, 助教 (50469871)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | パートン分岐関数 / 量子色力学 / パートン分布関数 / LHC |
Outline of Annual Research Achievements |
欧州原子核研究機関(CERN)で行われている大型ハドロン衝突型加速器(LHC)実験のように、陽子などのハドロンを入射粒子として用いる実験で観測される物理量を対象とした理論計算では、必ずハドロン内のパートン分布関数に由来する不定性がある。パートン分布関数の決定にはパートン分岐関数が必要となるので、その不定性を減らすにはパートン分岐関数を正確に求めておく、つまり高次補正を計算しておく必要がある。今回、以前より共同研究者と計算を進めていた、量子色力学での4ループ・パートン分岐関数のモーメントの解析的な計算結果を論文としてまとめた。この計算はスピンがN=2、4、6、8のフレーバー1重項のクォーク演算子とグルーオン演算子の異常次元を計算することにより実行されている。しかしながら、N=8までのモーメントの情報はブジョルケン変数xに直すと0.1程度以上のものに相当し、グルーオン融合によるヒッグス粒子生成などのLHCでの現象論では小さいxでのパートン分布関数が効いてくるため、さらなる(膨大な計算量のためにおそらく違う方法による)計算が必要である。 また、解析的なファインマン積分の簡約化には数式処理が必要であるが、本研究課題で開発中のプログラムでは数式処理のために、既存ライブラリを使いやすくするラッパーライブラリを開発し使用している。このラッパーライブラリ自体が、ほかの研究者からも有用かもしれないので、オープンソースライブラリとして整備し公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の主題であるファインマン積分の簡約化そのものにはあまり研究時間を取れず、特筆するべき進捗がなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発中のファインマン積分の簡約化プログラムの完成に目標を絞る。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、予定していた国際会議出席や検討していた海外の研究者との打ち合わせ等のための旅費が使用できなかった。研究の進捗も遅れていたので、次年度への延長を申請した。今年度後半での状況の改善を期待して引き続き旅費としての使用を考えているが、状況によっては弾力的な対応を検討する。
|