2022 Fiscal Year Research-status Report
Feynman integral reduction for precise particle physics
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19K03831
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
植田 高寛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50469871)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核子構造 / 量子色力学 / 摂動論的QCD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的の延長線上では、応用として摂動論的量子色力学(pQCD)などによる輻射補正の高次項を求めることによって、精密素粒子物理学のフロンティアを切り拓くということが期待されている。これに関して以下のような研究を行った。 核子とレプトンの深非弾性散乱は、核子構造を調べることのできる散乱反応過程のひとつである。光子交換による非偏極深非弾性散乱について、現在ではQCDの結合定数の展開でのnext-to-next-to-next-to-leading order (NNNLO)の項の評価が可能になっている。理論的にその次の高次項を評価するためには、pQCDでの4ループ・ウィルソン係数関数を計算する必要がある。 今回我々は、構造関数F2とFLの計算に必要な、非一重項クォーク演算子に対応する4ループ・ウィルソン係数関数のメリン・モーメントを、モーメントの次数NがN = 8, 10の場合に対して計算することができた。N = 2, 4, 6の場合に関しては、すでに過去に計算を行い、結果を発表している。また、N = 12, 14に関してもlarge-nc近似においての値を計算した。すべての計算結果は、既知の全次数におけるlarge-nc近似での値と無矛盾である。 さらに、これまでの計算結果から得られている情報と組み合わせることによって、ビョルケンのスケーリング変数xの関数として上記のウィルソン係数関数の部分的な表式を得た。結果が部分的であることから、現象論的な直接的利用には制限があるものの、将来の計算を見据えた重要なステップであると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の主題であるファインマン積分の簡約化そのものにはあまり研究時間を割けておらず、特筆するべき進捗がなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発中のファインマン積分の簡約化プログラムを完成できるよう目標を絞り、どうにか論文としてまとめたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、国際会議への出席や海外の共同研究者との研究打ち合わせが滞り、旅費の執行ができなくなったために次年度使用額が生じている。研究の進捗も当初期待したほどではないため、研究期間の再延長を申請した。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、行動制限も緩和・解除されているので、感染には十分注意しつつ、当初計画していた通り海外旅費としての使用を考えている。
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