2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of Gamma-Ray Vortecies on Production Process and Properties in Astronomical Syetem under Strong Magnetic Field, and Explore of Methods to Idenitify Vortex Photon in Experiments
Project/Area Number |
19K03833
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸山 智幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50318391)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 光子渦生成 / 強磁場中性子星 / 非線形コンプトン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究の続きであるが、強磁場中で螺旋運動する電子の光子放出の計算を相対論的量子論の枠組みで求め、ランダウ準位間の遷移での光子放出を正確に計算した。そして、全角運動量の伝搬方向成分が2以上となるガンマ線渦が確かに放出させることを確認するとともに、光子のエネルギースペクトルを高い精度で計算することができ、この結果は Physics Letter B誌に掲載された。 現在、一つの電子が円偏光した複数の光子を吸収し、1個の光子を放出する非線形コンプトン散乱の理論研究を行っている。生成入射光子、電子を平面波とし、終状態の電子、光子をベッセル波で扱うことで、計算が比較的簡易にできることを発見し実行している。吸収光子の個数を明確に決めて、相対論的量子力学の範囲で正確に計算するのは世界ではじめてのことである。これは、ガンマ線渦生成の実験として、日本国内で計画、実行しようとしているものである。本研究の結果として、3個以上の光子を吸収すれば、放出光子が有限の軌道角運動量を持つ光子渦になることを示すことに成功した。また、放出光子のエネルギーにより、吸収光子の個数が区別できることも示した。このように、定式化および計算プログラムの作成はほぼ終わり、すでに分かっている通常のコンプトン散乱の再現を行うことで最終チェックを行っている段階である。 光渦の研究は現在、応用分野で非常に盛んであるが、高い磁場を持つ天体系であれば、自然現象としてガンマ線エネルギー領域の渦光子が放出されることができた。さらに、日本国内で計画され実行されつつある、ガンマ線エネルギー領域の光渦生成の実験に対して理論研究の方面から支援することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最大の理由は、コロナ禍のためオフィスへの出勤、その他の移動や共同研究者との接触が制限されているためである。研究の進め方、理論上の問題が発生したときの改善法等についての決定に時間がかってしまった。 これ以外にも、非線形コンプトン散乱の解析計算が、円筒座標で試みたものが誰もいなかったので、予想以上に大変であった。特に、発散が生じ、規格化を考えなければいけないことがわかり、その解決に予想以上の時間を費やすこととなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、非線形コンプトン散乱によるガンマ線渦生成の計算の最終チェックを行った上で論文等を作成する。 同時に、高磁場プラズマ中での光渦の伝搬の研究をすでに開始しており、定式化を完成させた上で、数値計算を実行する計画である。この研究は、高磁場中のプラズマ振動、イオン間相互作用の遮蔽にも強く関連しており、その方面の研究者とも議論を行う予定である。ただ、現在までの定式化で、磁場中では電子のランダウ準位間遷移により、磁場のない状態では起こりえない光子の吸収過程が存在することが分かった。このことが光子の伝搬に対してどの程度の効果を与えるかは不明であるが、光子の自己エネルギーを計算するための積分内の被積分関数に発散が生じるため、数値積分をどのように実行するかを考えなければならないと思われる。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため研究発表や打ち合わせ等のための旅費を使うことができなかっため令和2年度の払戻金が多く、令和3年度も同じ理由で出張等ができなかったため。 来年度は出張制限も大幅に緩和されることが予想されるので、研究を遂行するための旅費に使うとともに、投稿料等の論文発表のための経費として使用する計画である。
|