2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K03838
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀田 昌寛 東北大学, 理学研究科, 助教 (60261541)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 漸近的対称性 / 時空測定の相補性 / ホーキング輻射 / レゲット=ガーグ不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子時空の測定理論構築に向けて、ブラックホールやリンドラー時空の地平面近くの漸近的対称性の研究を行った。真空中を加速度運動する測定機は熱浴を観測するというウンルー効果と同様に、漸近的対称性の生成子としての物理量(観測量)は運動する時計群が成す計量測定機を通じて、観測者に対して実在化するという仮説を、国際会議の招待講演で発表をし、海外の大学における滞在において共同研究を開始している。特にオーストラリアのマッコリー大学の一般相対論の研究グループなどとともに、地平面近傍のsupertranslation(ST)とsuperdilatation(SD)という2つの対称性が計量測定機において同時観測できない古典一般相対論における新しい相補性概念を研究した。これは量子力学における点粒子の位置と運動量が同時測定できないという相補性概念と類似した状況になっている。古典時空や一般相対論も本来は量子時空(量子重力)理論のある古典領域の状態の振る舞いを記述しているのは確実であり、その量子性の名残として、STとSDの間の相補性が現れてくると予想される。この仮定は、未知のままである量子重力理論の測定理論構築の上で非常に大きな示唆を与えており、今後の研究の進展への期待が大きくなっている。この研究は2023年度中には終わらず、現在も継続中である。また膨張する量子ホール系エッジ電流を使った量子宇宙シミュレータの実験で、ホーキング輻射の観測を予言した。またその量子性を確認できる1つのツールとしてのレゲット=ガーグ不等式の新しい定式化を行った。数学の一般確率論の枠組みの中に、仮想的なマクロ実在を記述する空間を作り、その中に量子力学の体系を埋め込むことで、理想的なマクロ実在論の定式化を行い、論文にまとめて発表をしている。特に量子的状態の構成に関して、これまでにはなかった機械学習的手法を取り込むことに成功をした。
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Research Products
(2 results)