2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03841
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 新 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60615318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 原子核理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 量子変分計算による有限密度格子ゲージ理論。高密度ハドロン物質の性質を解明することは、現代のQCD研究における最大の課題の1つである。本研究では、量子コンピュータを用いた変分計算によって、有限密度ゲージ理論を解析する手法を提案した。現在の量子コンピュータの規模では少自由度系で試験的な計算をすることしかできないが、将来、大規模な量子コンピュータが開発された際にはQCDの実践的な計算に応用できると期待される。
2) 符号問題のない非エルミートハバード模型。通常の量子系を記述するハミルトニアンはエルミート演算子であるが、これを非エルミート演算子に拡張することで非平衡過程などを記述することができる。相互作用する量子系の解析には量子モンテカルロ計算が有効であるが、分配関数が正定値ではない場合には符号問題と呼ばれる困難が存在する。非エルミート系ではエネルギースペクトルが複素数であるため正定値性は一般には保証されない。本研究では、分配関数が正定値となる非エルミートハバード模型を発見し、量子モンテカルロ計算を実行した。
3) 開放量子系の実時間シミュレーション。外界と粒子やエネルギーをやり取りする量子系は「開放量子系」と呼ばれ、リンドブラッド形式という理論的枠組みで記述される。リンドブラッド形式の実時間シミュレーションをすることができれば散逸・駆動の下での系の時間発展を調べることができるが、一般に実時間シミュレーションには符号問題が存在する。本研究では、符号問題が発生しない特殊な量子系を発見し、リンドブラッド形式の実時間シミュレーションを実行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、3件の原著論文、1件の総説論文、および1件の会議論文が出版された。また、オンライン研究会での成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、量子コンピュータを用いた計算アルゴリズムが多数提唱されている。その中でも特に、量子ウォークを利用したアルゴリズムに着目し、場の量子論や格子ゲージ理論への応用を考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大のため、参加予定だった研究会がオンライン開催となり、旅費として使用できなかった。現地開催が再開され次第、旅費として使用する。
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Research Products
(7 results)