2020 Fiscal Year Research-status Report
QCD高次ツイスト効果を起源とする謎現象の解明とハドロン構造の新側面の開拓
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19K03843
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小池 裕司 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60262458)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シングルスピン非対称 / ハイペロン偏極 / 摂動QCD / 高エネルギーハドロン反応 / パートン間量子多体相関 / ツイスト3効果 / パートン分布破砕関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン偏極していない高エネルギー核子核子衝突から生成されるハイペロン重粒子が横偏極している現象は,1970年代から知られている謎現象であった。この現象は,散乱過程におけるパートン間の量子多体相関によって引き起こされるツイスト3効果であることがわかってきており,摂動QCDを基にこの問題に取り組んできた。この過程を引き起こすツイスト3効果としては,(1)核子中のクォークグルーオン相関と(2)散乱パートンがハイペロンに破砕する際のパートン間相関があり,更に後者は、(2a)クォークグルーオン相関によるものと,(2b)グルーオン間相関によるものがある。これらに対応する断面積公式は,(1)と(2a)については, これまでの我々の研究で導出されていた。本年度は,(2b)に取り組み完成させた。前年度の研究により、ツイスト3グルーオン破砕関数間に成立している関係式が導出できていたため,それを利用することで,ローレンツ不変な形で(2b)に対応する断面積公式の導出が完成した。この成果により,この過程の断面積に対する完全公式が,QCDの結合定数について最低次の近似(LO近似)で完成し,現在,投稿準備中である。 無偏極な電子核子衝突で生成されるハイペロン重粒子についても,横偏極現象が予想されるため,上述の核子核子衝突で開発した計算の定式化を用いて,この過程に対する断面積公式を導出した。(1), (2a),(2b)に対応する断面積をLO近似で導出し完成させた。 ツイスト3グルーオン関数の高エネルギー過程における寄与の定式化により,全てツイスト3効果の定式化がLO近似で完成したことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オンライン授業の準備などコロナ禍の対応に追われ,研究に避ける時間が激減したため。
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Strategy for Future Research Activity |
RHIC, EIC実験に備え,シングルスピン非対称につき,結合定数について次主要補正を取り込む定式化へと研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため予定していた学会等に参加するための旅費が不要となった。
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