2021 Fiscal Year Research-status Report
Extension of the standard model based on scale invariance and its verification trough gravitational waves
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19K03844
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
久保 治輔 富山大学, 理学部, 客員教授 (40211213)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スケール不変生 / 初期宇宙理論 / 素粒子論 / 重力波 / エネルギースケールの起源 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の目的は、暗黒物質を含めた素粒子の質量の起源は何かという「問い」に対するスケール不変性に基づき標準理論を拡張するという「答え」を、重力波を 使って検証できないかを調べることである。 今年度は、プランク質量、暗黒物質の質量、Higgs質量、つまり、すべてのエネルギースケールの起源が同じであるような二つ模型を構築した。一つ目の模型においては、二つのスカラー場を導入し摂動論的(Coleman-Weinberg)効果によってスケール不変性を自発的に破る機構を採用した。スケール不変性の破れによってスカラー場と重力場の結合からプランク質量が生成される。このスカラー場は、宇宙のインフレション的膨脹を記述するのに必要なインフラトン場の役目を果たすこと、また、もう一方のスカラー場は、宇宙の暗黒物質になれることを見出した。 二つ目の模型では、非可換ゲージ理論の強い相互作用を利用し、カイラル対称性を自発的に破ると同時にスケール不変性も自発的に破る機構を採用した。この模型では、非可換ゲージ理論と重力理論を繋げているスカラー場がインフラトン場の役目を果たしており、スケール 不変性が自発的に破れる際に生ずる南部-Goldstone(NG) ボゾンが宇宙の暗黒物質になれるかを調べた。いずれの模型も現実的なインフレーション宇宙を記述できていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までは、スケール不変性に基づいて拡張された標準理論を、重力波を使って検証できないかを調べるいたが、今年度は、スケール不変な宇宙モデルを構築し現実的なインフレーション宇宙を記述できていることを確認することができた。従って、計画は概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、幾つかのエネルギースケール(プランク質量、暗黒物質の質量、Higgs質量)の起源が同じである模型を更に構築する。これまでに提案された模型も含めて、インフレーション宇宙を記述する観測可能な物理量(power spectrumのspectral index, tensor-to-scalar ratio等)、重力波に関する予言を更に精密に計算し、将来の観測によって検証が可能かを調査する。 カイラル相転移は一次相転移になることが知られているが、QCDの第一原理による重力波スペクトルの計算は存在していない。令和4年度も、格子QCDシミュレーションの専門家との議論を更に深める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために、令和2、3年度と続いて予定していた海外出張ができなくなった。このため、旅費予算額を使うことができなくなり、次年度使用額が生じた。令和4年度は海外出張が可能になったので、ドイツに長期滞在し共同研究を遂行する計画である。
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